「母は週末、疲れてくるとちょっとしたことにも腹を立て、私や弟に怒っていることに気が付きました。いつもだったら言われないような、ちょっと物が出しっぱなし程度のことにまで『自分のものくらい自分でやってよ!』という感じです。それが慣例化されているものだったら納得もできますが、これは完全に母の機嫌によるものでした。逆に、何度言っても傘さし運転を止めない弟に対し、母がその危険性をしつこく注意していたことがありました。これに関しては『本人や周囲のために危険な行為を止めさせるために叱っている』という印象を受けました」
そんな風に二つを切り離した結果、叱ると怒るは似ているものの、怒ることは自分次第で減らすことができるのではないか?と思うようになったといいます。
母になって実践
そしてNさんは結婚、出産を経験。長年考えていた「怒らないで叱る」ということを我が子に対して実践してみたそうです。
「よく街で『ほら、そんなことして怒られるよ!やめなさい!』なんて声掛けしているお母さんたちがいますよね。私はそれに対してすごく違和感がありました。誰かを怒らせるということは、その人に対し嫌なことをしているということ。全く関りのない人を怒らせるというのは、何か必ず原因があるはずです。そこを子供に理解させないのは注意として成り立っていないのではないか。そう考え、うちの子が第三者にご迷惑をかけそうになった場合は『なぜその行為が駄目だったのか』理由を加え、叱ることを目指しました」
確かに「怒られるよ!」という発言は、目の前の嫌なことから逃げたい子供に対して効果のある一言ではあります。しかし、それはその場しのぎに過ぎません。なぜその人が嫌な感情になったのか理解しなければ、次回同じことを繰り返すことも大いに考えられます。