忘れてはならないアルカイダ勢力の脅威

一方、長年ISと表面的には対立関係にあるアルカイダ系勢力も各地で活動している。

特に、2014年以降はISの台頭により、アルカイダの動向が日本で報じられることは少なくなったが、今日でも、アラビア半島のアルカイダ(AQAP)やマグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)、ソマリアのアルシャバブ(Al Shabaab)、マリを中心にサハラ地域を拠点とするイスラムとムスリムの支援団(JNIM)、シリアのフッラース・アル・ディーン(Hurras al-Deen)など、各地にアルカイダ系組織は存在する。

特に、最近ではアルシャバブの動向に強い懸念が広がっている。

これまでも、アルシャバブはケニア・ナイロビで外国人を狙った大規模なテロ事件(2013年9月のナイロビショッピングモール襲撃テロ 60人以上死亡、2019年1月の高級ホテルや外資系企業などが入る複合施設を狙ったテロ事件 20人以上が死亡)を実行してきたが、今年に入っても5日に、ケニア東部ラム地方にある軍事基地を襲撃し、米国人3人を殺害した。

また、ナイロビのバーやナイトクラブなど外国人が多く集まる場所を狙ったテロを計画していたとされる5人(米国人1人を含む)が17日に逮捕された。この5人はアルシャバブのメンバーとされる。

また、サハラ地域のブルキナファソでは近年、マリから越境してきたとみられるISやアルカイダ支持グループによるテロ事件が後を絶たない。しかも、一回のテロ事件の犠牲者が数十人や百人以上に及ぶことも多く、極めて暴力性の高いテロ事件が続いている。

和田 大樹