老後の生活費の目安は?

老後に必要となる生活費はどの程度なのでしょうか。生命保険文化センター調査「令和元年度 生活保障に関する調査(速報版)」によると、2019年の平均額で夫婦2人の老後の生活費は以下の通りです。

・「最低日常生活費」の平均額…22万1000円
・「ゆとりある老後の生活費」の平均額…36万1000円

厚生年金のモデル世帯であれば「最低日常生活費」とほぼ同額になる見込みです。しかし支給額には加入者ごとに差がありますし、支給額が将来改定される可能性もあります。

また年金を65歳で請求せずに、繰り下げることで割り増し受給することも可能ですが、誰もが有利になるとは言い切れません。

66歳以降70歳までの間で繰り下げた場合、増額分は「繰り下げた月数×0.7%」で計算。増額分は最大で42.0%となりますが、各人が将来の生活費を考えてそれぞれ備えていくことが重要になるといえるでしょう。

「iDeCo」「つみたてNISA」の組み合わせで有利に貯める

継続的に貯めながら税制優遇を利用できる「個人型確定拠出年金(iDeCo)」や「NISA」について特徴を確認していきましょう。金融庁の「NISA・ジュニアNISA口座の利用状況調査」によると、2018年1月からスタートした「つみたてNISA」については、2019年9月末の段階で加入数170万口座を超え急増しています。

iDeCoの節税効果と限度額

iDeCoには3つの節税効果があります。掛金を拠出するとき、運用益、受け取るときの3段階です。掛金の拠出額が所得控除となり、期間中の運用益が非課税(約20%分)となり、60歳以降に受け取る際に退職所得控除が利用できます。

iDeCoの積立て上限額は以下のようになっています。
1.自営業者→最大月額6万8000円
2.企業年金制度のない会社員→最大月額2万3000円
3.専業主婦→最大月額2万3000円
4.企業年金に加入している会社員→最大月額1万2000円
5.企業型確定拠出年金に加入している会社員→最大月額2万円
6.公務員→最大月額1万2000円

専業主婦の場合、上限額は月2万3000円です。またiDeCoは60歳になるまで引き出すことができないため、老後用の資金として確実に貯め続けることができます。

NISAの仕組み

NISAも同様に投資信託の運用益が非課税になる制度で、「一般」と「つみたて」のどちらかを選択します。資金使途は自由で、いつでも引き出し可能な制度です。

非課税枠の対象は以下です。
・「一般NISA」…年間120万円限度×5年間(最大600万円まで)
・「つみたてNISA」…毎年40万円限度×20年間(800万円まで)