前述の売春をしているという女性パートタイム講師は「次世代を担うミレニアル達が批判的思考者になれるよう支援することに熱意を感じている」といいます(※1)。
バウム氏は、テニュアドになった教授の中には手を抜く人もいるし、管理職側に転身する人もいるといいます。上手く立ち回って行けば教授職よりも高給な上級管理職のコースに乗れるということです。バウム氏は「そのような教授らに、(教えることに情熱をもつ)パートタイム講師の(コース)単価よりも高く支払うのは不当だ」と主張します。
同じレベルの学位を持ちながら違いが出てしまうのはなぜなのでしょうか。運が無かった、実力が足りなかった、タイミングが悪かった、世渡りが上手くなかった…。
大学は夢を売るように学生たちに次の学位をとるよう刺激します。そして、数十年前よりも修士や博士号を取りやすくして、高学歴者を増やしてしまっています。それなのに、高学歴者の受入れ先になるどころか、フルタイムの教授職の募集を減らして、パートタイム講師になる人を増やしているのです。大学が需要と供給をコントロールしているということです。
夢や理想を持つことは大切なことです。しかし、いくらその仕事に情熱をもっていても、まともな生活が出来ないのであれば、手遅れにならないうちにどこかで見切りをつけるという勇気も必要なのかもしれません。
【参考】
(※1)“Facing poverty, academics turn to sex work and sleeping in cars”The Guardian
(※2)“The Exploitation of Part-Time Teachers in Higher Education”New Politics
(※3)“The Real Reason College Tuition Costs So Much”The New York Times
(※4)“2018-19 Faculty Compensation Survey Results”AMERICAN ASSOCIATION OF UNIVERSITY PROFESSORS
(※5)“Executive Compensation at Public and Private Colleges”THE CHRONICLE
美紀 ブライト