・「子供が産まれて以来、自分の特技を活かすことを諦めていました。仕事としてお勤めするにはブランクもあるし、時間も合わない。そんなときママ友に頼ってもらえたのはうれしいことでした。『悩んでいたことが解決した!』なんて言われたのが本当にうれしくて。やっぱり私はこの分野が好きなんだと改めて実感し、子育てがひと段落したらまた仕事として挑戦したいと思うようになりました」

・「スマホアプリを使って、手芸作品を出品しています。最初は趣味でやっていましたが、現在はそれを収入源としているため、自分的には『プロの仕事』のつもりでやっています。先日、幼稚園で使用するバッグを作って欲しいとママ友からLINEがありました。しかし、そのときは他のお客様からの依頼が数件入っていたため、順番待ちになることを説明。

もし急ぐのであれば、すでに販売しているものの中から選んで購入してほしい旨を返信しました。すると『私ってそんな程度の友達だったんだね』という返事がきました。あぁ、この人は私が仕事としてやっていることを理解してくれていないんだな…と思うと同時に、在宅で働くことへの理解がまだまだないことを痛感しました」

・「イラストのお仕事をしていることは園のママたちにもお話していました。年度末に先生へお礼の色紙を差し上げることになったのですが、クラス委員のママから『真ん中に先生のイラストを描いて欲しい』と依頼がありました。我が家もお世話になったし、皆さんのお役に立てるのであれば…とお受けすることに。すると、それを見たママさんから『上手!うちの家族のイラストも描いて欲しい!』と言われてしまいました。

さらに、その話を聞いた数人のママたちがうちもうちもとなってしまい、気が付けば6件ほどの依頼が。同じクラスのママたちなので断ることもできず、今抱えている仕事の合間なら…とお受けしてしまいましたが、正直、そんな簡単に描けるものではないことを理解してもらえていないようです。お金を取るわけにもいかないし、この話を他のママが聞いたら…と思うと、イラストレーターであることを話さなければよかったとすら思っています」

依頼する方としては「うちくらいちょっと」と思うかもしれません。しかし、その数が増えては、スキルのあるママたちの本業を邪魔することになりかねません。また「あのうちは引き受けたのにうちにはやってくれなかった。ズルい」などといったトラブルを引き起こすこともあります。

まとめ

身近に特技がある人がいるとなんとなく誇らしい気持ちになり、ついつい頼ったり恩恵を受けたくなるものです。しかし、そのスキルは決してタダではありません。その人がその道で対価を得ている、もしくは得ていたのであれば、お願いするその時間にも対価が発生することはなんらおかしいことではありません。

「お友達だから」「子供のためだし」なんて思ってしまいがちですが、そういった基本的なことを忘れず大切な相手を不快にさせないように配慮することも大切です。そうすることでいつまでも良好な関係が続けられるのではないでしょうか。

佐渡 六花