「お世話になった親の老後、面倒をみるのは当たり前」これは確かに美徳とも言えます。しかし、自分を犠牲にしてまで、恩を返さなければいけないのか…?同居、介護を拒否すると、ともすれば「親を捨てた非情な子ども」という目で見られる、何よりも自分自身、良心の呵責を覚える。

でも、自分の親の介護でさえそれ相応の覚悟がいるのに、いくら仲がいいといえども、義理の両親の介護は二の足を踏んでしまう…。そんなA子さんの気持ちは至極当然のような気がします。

訪問介護やデイサービス、介護付き施設など、今はさまざまな選択肢を選べる時代。「子どもは親の面倒をみるもの」「嫁は義父母の介護をして当然」という考え方は時代遅れともいえます。夫が妻に介護を押し付けることによって妻に不満が募り、最終的に離婚にいたってしまう「介護離婚」のケースも少なくありません。

同居、介護は双方が納得いく結論を

夫婦間の避けては通れない問題のひとつ、介護。いざその時が訪れてから慌ててしまうことがないよう、日ごろから夫婦間で「どうするべきか」を話し合うことが必要です。そのとき大切なのは「介護をしたくない、という気持ちを否定しない」ということ。感謝の気持ちや両親に対する愛情と、介護を引きけるか否かは全く別問題なのですから。

何度も話し合い、夫婦ふたりが納得いく答えを見つけることが大切。また、自分が高齢になったとき、子どもたちに負担をかけないよう、「自らの老後」について、元気なうちに計画をたてておきたいものです。

大中 千景