もちろん我が家にも来てもらって、私の手料理をふるまうこともあるし、小学生の子どもの運動会やお誕生日会などには来てもらいます。でも、基本的にこちらから招待しない限り、アポ無しで訪問してくることはいっさいありません」「つかず離れず」の心地よい距離感で付き合ってくれる義理の両親がA子さんは大好きで、それはこれからもずっと変わらない…と思っていたそうです。

しかし、そんなA子さんの心に暗雲が立ち込めたのは夫の発言がきっかけでした。「うちの両親もそろそろ高齢だし、何かあったら我が家で同居することも考えないといけない。介護のことも視野に入れておいてほしい」その言葉を聞いたとき、A子さんはとっさに「嫌だな…」と思ってしまったそうです。

「あれだけよくしていただいているのに…『嫌だ』と思ってしまって自己嫌悪でした。でも、どれだけ前向きに考えても『将来同居、介護は嫌だ』という結論しか出ないんです。ほんとに自分は最低な嫁だと思います」

介護は嫁の仕事なの?

実の親でも大変な介護。義理の両親に対して「今までお世話になったから」「これも嫁の仕事のうちだから」と進んで行える人は、果たして世の中に何人いるのでしょうか?おそらくほとんどの人の答えは「NO」だと思います。しかし、「介護をしたくない」というと「俺の親を無下に扱うのか」「今までさんざん世話になってきたのにそんなのことを言うのか」などと妻を責める夫も少なからずいるようです。

彼らの言い分はこう。「自分は仕事があるのだから、介護は妻がするべき」A子さんの夫も、言外にそのようなニュアンスを含ませていたのだそうです。「家族なんだから助け合うべき」それはもちろんそう。でも、彼らの言う「助け合い」とは「妻が自分を犠牲にして自分の両親の面倒を見ること」。それは果たして「助け合い」と呼べるものでしょうか?