キュレーターから読者に伝えたいポイント

年初から2016年の注目イベントとして注目を集めてきた伊勢志摩サミットが始まりました。どのような方向性の変化が起こるのかは開幕当日の執筆時点では正確な予測は困難ですが、1つだけ言えるのは、直前までのサミットに対する期待はそれほど大きくはなかったため、“サミット・ロス症候群”になる可能性は低そうであることです。

とはいえ、いつまでも政策頼みになっている日本株市場もいかがなものかという気もします。そうした反省を踏まえ、以下の4記事から今後の展開を探りたいと思います。

下値も上値も限定的

この記事の筆者によれば、伊勢志摩サミットは玉虫色の合意となる可能性が高いとのことで、先進国が協調して財政出動を行う、各国政府が円安を表立って容認する、というようなバラ色のシナリオは限定的と見ています。

ただし、政策とは無関係に、米国市場ではアプライド マテリアルズ社の好決算をきっかけに、半導体、ハイテク関連株が買い直されていることも指摘されています。私たちも政策だけを注視するのではなく、民間企業が持つ潜在力や企業家精神などにも、もっと目を向けるべきかもしれません。

今週も先週と同様、下値は限定的で政策期待が下支え

出所:楽天証券

サミット後の注目点の1つは為替

この記事によると、元々、サミットに対する期待は大きくなかったため、少しの出来事でも相場がポジティブに捉える可能性は十分にあり得るとのことです。また、米国での6月の利上げ実施が暗黙の了解となりつつあるため、もう一段の円安が進む可能性にも注目したいところです。

閑散に売りなし。期待値の低い伊勢志摩サミットは、十分サプライズになり得る
出所:投信1

ボックス相場は継続か、それとも脱却か

この記事では、足元の日本株の強気材料、弱気材料が簡潔にまとめられています。筆者によれば、強気材料は、1)米景気の持ち直しと6月利上げによる円安、2)原油価格のもう一段の上昇、3)景気対策実施への期待、4)中国景気持ち直しへ、の4点です。

一方、弱気材料としては、1)米利上げの思惑復活による海外株式市場の下落懸念の高まり、2)原油反落、3)日本の景気・企業業績の失速、4)中国の構造改革の遅れ、5)世界的な反グローバル主義の広がり、の5点が挙げられています。

弱気材料の方が多いのは少し気になるところですが、長期的に資産形成を目指す個人投資家は、強気、弱気のどちらか一辺倒になるのではなく、両方のシナリオを常に考慮しておくことが大切です。

今週の日本株見通し ボックス相場が続く見込み
出所:楽天証券

地政学的リスクにも目を向けたい

この記事を読むと、日本が財政政策拡大に向け、各国へ政策協調を求めてもなかなか理解を得られない背景が理解できます。このところ、しばらく地政学的リスクという言葉を耳にしなくなりましたが、欧州の難民問題、英国のEU離脱など、サミット後は、株式市場にとって地雷となりそうな大きなリスクが潜んでいることにも注意を払いたいと思います。

なぜ、ドイツは財政拡大に消極的なのか?
出所:投信1

 

LIMO編集部