自分で決めたことが夫婦の格差を生んでしまうことも

Mさんは子どもが年少児になったのを機に、それまで勤めていたIT企業を退職し、自宅近所で事務職のパートに就くことにしました。産休と育休を経て復帰はしたものの、同業者である夫は子どものお迎えや病気の時の対応がほぼできず、肉体的精神的に限界を感じるようになったからです。パート先は、子持ちの女性が多いこともあり、育児には理解のある職場です。正社員時代に比べれば収入は落ちますが、家庭との両立はしやすいだろうと思い決心しました。

でも実際パートが始まってみると、自宅近くで通勤時間はカットされるものの、仕事が終わった後に子どものお迎えや家のことをして…という一連の作業の大変さは変わりません。それどころか、以前はごみ捨てと休日の掃除ぐらいはやっていた夫が、正社員じゃない仕事なら余裕もあるだろうといわんばかりに、全く何もしなくなってしまいました

少しは家事や育児に余裕が出るだろうと踏んでいたMさん。でも変わらない状況に「以前のように家事を分担してもらえないか」と相談したところ、「収入が減ったんだから、お前が家事や育児を多くやるのは当たり前だろう」と言われてしまいました。どうやら夫にとって正社員時代は同等の立場ですが、非正規雇用は下ということのようです

「なんだか夫にがっかりしました。自分で決めたことなので、正社員の座を捨てたことは後悔していませんが、夫の中では私は対等ではないということなのですよね」とMさんは深いため息をつきます。家庭のことを考えて行動したことが、逆に夫婦の格差を生んでしまうこともあるようです。