金融庁のいわゆる「老後2,000万円問題(※1)」が大きな話題になりました。政治的な騒ぎで終わってしまったような感覚がありますが、2,000万円という金額には以下のような深刻な内容も含まれています。

・年金給付に頼っている高齢夫婦無職世帯では毎月の赤字額は約5万円(平均)
・老後の不足額は20年間で5万円×20年=約1,300万円
・老後30年間の場合は5万円×20年=約2,000万円

老後の生活費そのものは現役期と比べて減少するとはいうものの、年金は老後生活のメイン収入です。高齢化が深刻な日本では、年金制度の維持についても多くの問題を抱えています。日々の生活だけではなく、医療費や住居費、介護費等が重くのしかかる可能性もあります。旅行やレジャー、子・孫の予定も含めると、老後の生活は人それぞれ。各人で必要となる貯蓄を想定して老後資金について考えてみましょう。

【参考】
(※1)『市場ワーキング・グループの報告書「高齢社会における資産形成・管理」』金融庁

老後の生活費「最低日常生活費」は22万円というデータも

ここで、「年金収入」と「生活費」について公的データを確認してみましょう。生命保険文化センターが公表した『令和元年度「生活保障に関する調査(速報版)」』(※2)によると、老後の生活費(夫婦2人)は
・「最低日常生活費」の平均額…月額22.1万円
・「ゆとりのある生活費」の平均額…月額36.1万円

この金額と公的年金のデータ(※3)を比較してみましょう。