ある日、夫が「これ、明日振込しておいて。」と1枚の振込用紙をYさんに渡してきました。次の日は、いわゆる五・十日(ごとうび)。銀行は混みます。子ども2人を連れて銀行の窓口に並ぶのはきついと判断したYさんは、「仕事の休憩時間中に、自分で行ってほしい。」と断りました。
すると夫は、「俺に休憩時間をつぶして行けっていうのか?だいたい、抜ける時に『振込に行く』なんて言おうものなら、親父(社長)に『そんなの奥さんに頼めないの?』って言われるんだよ。そうなると尻に敷かれてるみたいに言われて、本当に言い訳が面倒なんだ。お前がちゃちゃっと行ってくればすむ話じゃないか。大したことじゃないだろう?」と強硬に主張。
「…わかりました。」小さくため息をつくと、Yさんは夫から振込用紙を受け取りました。そういえば、以前役所の手続きを頼まれて渋った時も、同じことを言われたっけ。夫にしてみれば、自分の小さなプライドのためなら、妻が幼子2人を抱えて窓口に並んで大変な思いをすることなんて、「大したことではない」ようです。
「俺」の許可が必要
Sさんは小学校4年生と1年生の子を持つママです。春先、上の子のクラスの保護者会に出席したところ、PTAのクラス委員を引き受けることに決まってしまいました。長い長い沈黙の中、誰かが「一度もやったことのない人から選べば」と言い出し、下の子が未就学児を理由に断り続けていたSさんが引き受けざるを得なくなってしまったのです。