(1) 健康な老後を送れるかどうか

老後、健康に過ごすことができれば継続して就労することも可能です。
総務省統計局の『平成29年就業構造基本調査』調査結果によると、全国平均で25%程度の方が65歳以降も就業しています

また、平均寿命と比較される「健康寿命」も老後の生活を大きく左右します。厚生労働省によれば、2016年の男性の健康寿命は72.1歳、女性は74.7歳。長い人生を考えると男女とも健康面のリスクを想定していく必要があることが分かります。

(2) 定年退職までに貯め終わらなくては、というわけではない

老後資金は定年退職までに積み立て完了が目標というわけではありません。資産はそのまま運用を継続することができます。

老後資金を生活費として使い始める平均年齢は65.1歳(※4)といわれていますので、貯金の切り崩しをできるだけ先延ばしにすることが重要です。継続して収入を得たり、生活費を節約するなどの方法で対策をしていくことになります。

【参考】
『平成29年就業構造基本調査』総務省統計局
(※4)『公的年金や退職金以外に準備した資金を使い始める年齢』生命保険文化センター

(3) 不測の事態を想定した場合の必要額

そこまでゆとりのある生活を目指していなかったとしても、思うように就業ができない場合や、医療費・介護費等の支出が続く可能性もあります。そのような不測の事態に備えて、先ほどの「ゆとりある老後」のデータを参考に備えるべき金額を算出してみましょう。

《2人世帯・不測の事態に備えた場合の必要額》
60歳で定年を迎え、65歳から年金受給開始。以降の20年間を想定した場合、
・生活費(参考:「ゆとりある老後の生活費」)…36.1万円
・厚生年金支給額(モデル世帯)…22.1万円
差額14万円×20年間(20年×12カ月)=3360万円