フランス人美容師が「日本語なら話せるから私が切る」と言い出します。これが既にフランス語でした。席について藤田さんが日本語でどのようにカットしてほしいかを述べても通じません。彼が話せる日本語は「カワイイ」と「ダイジョウブ」だけだったのです。

それでも藤田さんは「難しいオーダーではないから、ジェスチャーとフランス語で伝えよう」とカットを続けてもらいましたが、オーダー通りではなくかなり多めにカットされてしまいます。フランス人美容師はにこやかに「大したことじゃないさ!」

「ダイジョウブ、カワイイ」とたたみかけてくる美容師に絶望した藤田さんは帰宅後、明らかに左右のバランスがおかしい髪型を自分で切りそろえました。もちろんその後は美容院には不信しかなく、調髪は自分でするようになったのです。

そうすると……「パリでよく見かける黒髪ロングの日本人女性」が出現したではありませんか。この髪型の女性が多いのはこういうことだったのか……!