直近8年間で+110円の値上げ、割安感はやや薄れつつあるが…

さて、その「シウマイ弁当」ですが、近年は値上げが続いています。直近10年間における価格推移を見てみましょう。なお、いずれも税込み価格です。

  • 2010年9月1日:750円(▲30円値下げ) 原材料価格の低下
  • 2014年4月1日:770円(+20円値上げ) 消費増税に伴う改定
  • 2014年8月1日:800円(+30円値上げ) 原材料価格の高騰
  • 2016年9月1日:830円(+30円値上げ) 原材料価格の高騰
  • 2018年9月1日:860円(+30円値上げ) 原材料価格の高騰

このように、主に原材料価格高騰(豚肉、帆立貝、小麦粉等)により、シウマイ弁当は8年間で+110円も値上げされました(値上率は約+15%)。ただ、2010年は逆に値下げが実施されるなど、原材料価格の変動を売値に反映するスタンスを取ってきたことがうかがえます。

昨今の原材料価格高騰を勘案すれば、値上げは致し方ない気もしますが、割安感が徐々に薄らいできたことは否めません。それにもかかわらず、今でも1日に2万個以上も売れるところに、シウマイ弁当の根強い人気、固定ファンの多さを感じることができます。

消費増税でもシウマイ弁当の価格は据え置き

なお、今年10月の消費増税(8%→10%)でも価格は据え置きとなりました。確かに、駅弁は軽減税率対象ですから、価格据え置きは当然と言えば当然です。ただ、この増税時に便乗的な値上げを実施した駅弁が決して少なくなかったことを勘案すれば、「シウマイ弁当」ファンにとっては嬉しいニュースだったと言えましょう。

今後、崎陽軒のシウマイ弁当が安定した強みを維持したまま、どのように発展していくのか注目したいと思います。

葛西 裕一