Twitterではペットに関する投稿が数多く見られます。かわいい写真や動画もたくさんありますが、ペットの健康や安全に関するツイートも少なくありません。
猫漫画誌「ねことも」に連載を持つ漫画家・熊沢楓(@kmzwked)さんは、自宅にいる6匹の猫たちの「レスキューカード」を自作していて、運転免許証と一緒に持ち歩いているのだそうです。
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熊沢さんはひとり暮らし。熊沢さんにもしものことがあると、6匹の猫たちはごはんを食べることもできなくなってしまいます。もしものときには、熊沢さん自身の口からは猫のことを誰かに頼むこともできなくなるかもしれないのです。それは猫たちにとっても生命の危機です。
そんなときのためにペットの飼い主は熊沢さんのようにレスキューカードを持ちます。「家に猫(ペット)がいます」、それを伝えて保護をお願いするカードです。最近では市販のものもありますが、熊沢さんはご自身でわかりやすく猫たちの絵を入れたものを作成なさいました。
ペットとともに生活するのはとても楽しく、癒やされるものです。しかし、それだけのものではありません。ペットも人間と同様、生命あるものですから、彼ら彼女らが安全・快適に生きていけるよう飼い主が気をつけなければなりません。
ペットの安全・健康・快適な生活を整えるのは飼い主の義務です。たとえ飼い主がいなくなってもペットたちは無事でいられるよう、あらゆる手段を講じる必要があります。
飼い主としての熊沢楓さんに聞く
6匹の猫と一緒に暮らす熊沢さん。「猫と一緒に暮らす」ということは、熊沢さんにとってどういうことなのでしょうか。
「なんでしょう……家族? 猫と一緒に暮らしていなかったら旅に出て帰らなかったでしょうし、家も持たなかったでしょうね。猫の安全や生活を最優先に考えて暮らしているので、私の『芯』と言うか、船の『バラスト』みたいなものだと思います」
熊沢さんにとって、猫は生活の中心。熊沢さんがいないと猫たちはごはんも食べられませんが、猫たちがいなければ熊沢さんの生活もまた成り立たないようです。
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ストーブを中心に集まる熊沢さん宅の猫たち
熊沢さんが猫のレスキューカードを作ろうと思ったきっかけは何だったのでしょう。
「ボランティアとして参加している猫の保護団体で、災害時のペット救助に役立つシールを作ることになりました。玄関などに『家に猫がいます』というシールを貼っておけば、救助される可能性も高まります。そのときに、カードタイプのものもあるということを知り、ひとり暮らしの私にはこちらも重要だと思い、作りました」
また、レスキューカードのことをツイートしたのにも理由がありました。それは最近Twitterで話題に上った、3匹の猫を飼いながら急病で倒れ、救急搬送された人の話でした。
飼い主が不意にいなくなると
救急車で運ばれた飼い主は生命は取りとめたものの、しばらくは他者との意思疎通を図ることができない状態で、自宅にいる猫のことを周囲に伝えることができませんでした。
ようやく猫のことが周囲に伝わり、入院中の飼い主の代理の人が猫たちの様子を見に行ったのは、飼い主が倒れてから2カ月も経ってからのこと。3匹の猫たちは秋から冬にかけての季節に、水もごはんも暖房もないところで過ごさなくてはならず、保護されるまで生き延びたのは1匹だけでした。
飼い主はきっと望んで倒れたわけでも、2カ月もの長い間、猫たちを放っておいたわけでもありません。できるならすぐにでも自宅に戻って猫たちにごはんをあげて、部屋を暖かくしてあげたかったでしょう。誰のせいでもない不慮のできごとですが、悲しい結末につながってしまいました。
このようなことが起きてしまわないために、レスキューカードは役立ちます。一緒に住む6匹の猫たちのために自身が持ち歩いているカードを一例として熊沢さんはツイートなさいました。作成例を挙げることで、レスキューカードというものの存在やカードを持ち歩くこと、カードにはどんなことを書いておく必要があるかということが、多くの人に伝わったでしょう。
ペットと暮らすということ
先ほども紹介したように、熊沢さんの生活は猫が最優先になっています。日常でも次のようなことに気をつけていると教えてくださいました。
- 猫に毒になる花は家に入れない
- 猫に毒になる食べ物、刃物や尖ったものは出しっ放しにしない
- 紐・ビニール袋・磁気治療器などの小さな磁石・香水・ヘアスプレー・アロマ・香りの強い柔軟剤・殺虫剤・消臭剤は使わない
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熊沢さん宅の階段で落ち着くライムとセプテンバー教授
アジサイやシクラメン、キキョウ、ジンチョウゲなど、人間は何ともなくても猫には毒という植物はたくさんあります。ラベンダーのように匂いさえ生命に関わるというものも。食べものでもネギ類やチョコレートは人間にとってはおいしいものですが、猫にとっては死に直結するものです。
また、紐やビニール袋、小さな磁石などは、遊んでいる途中で誤飲・誤食してしまう可能性があります。こういったものに刃物や尖ったものなどとともに充分な注意が必要なのは、人間の赤ちゃんの世話をするときと同じです。殺虫剤や消臭剤も同様です。
もしも注意が行き届かず怪我をしたり身体の具合が悪くなったら、人間なら救急医療を受けることもできますが、ペットたちにはその機会がとても少ないです。ペットの生命は飼い主にかかっているのです。
熊沢さんのように常日頃、同居するペットたちの安全確保を第一に考えて生活を整えることができる人、自分自身ともうひとつの生命の安全と健康を確保できる人だけが、ペットと暮らすことができます。「かわいいから」というだけでペットを飼いたい人は、ぬいぐるみで満足しておくべきでしょう。
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ストーブに当たるソラオとレモン。黒白柄の2匹です。
レスキューカードはペットのためだけでなく
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熊沢さん宅のストーブ前でくつろぐミッキーとセプテンバー教授
熊沢さんのように人間1人がペットと暮らす場合、人間が事故に遭ったり病気になったりしてペットの世話ができなくなったときには、ペットをほかの人に託さねばなりません。しかし、すぐにペットのことを誰かに頼むことができない場合もあります。
そんなときのためのレスキューカードですが、カードで保護をお願いする対象はペットだけに限らないのではないか、と熊沢さんは言います。たとえば小さなお子さんがいる場合。あるいは介護が必要な家族がいる場合。世話をできるのが自分だけなら、レスキューカードを持っておくといいのではないでしょうか。
レスキューカードは連絡先など個人情報を書いておきますから、持ち歩くにはリスクもあります。その点もあって全面的におすすめはできない、と熊沢さんもおっしゃいます。
しかし、「家に(ペット・子供・介護が必要な家族)がいます」、「もしものときは(電話番号)に連絡をしてください」と記したカードを、運転免許証や保険証などと一緒に常時携帯しておけば、もしかしたら最悪の事態を防げるかもしれません。
リスクも考え合わせた上で、レスキューカードを持つか持たないか、また、生活をともにする大切な家族、かけがえのない生命の安全のことを、改めて考えてみませんか。
衛澤 創