ファンタジーを見ない人格のおかげで結婚生活もうまくいっている?

また、仏壇屋を生業としている父は、常に歴史や哲学、宗教について関心を持っていました。そんな父はきっと、サンタの存在のようなファンタジーも含めて、人間を救済してきた宗教や培われてきた歴史、人間の業とは何かを、決して子ども扱いせず筆者に説明してくれていたのかもしれません。

「1年間、いい子にしていたらサンタさんがプレゼントをくれる」というクリスマスプレゼントの“お決まり”も、「プレゼントのためにいい子にするの? じゃあ、その“いい子”って誰にとってのどんないい子なの?」と、今となっては笑えるほど哲学的な問いかけをまだ幼い筆者にしてくることもありました。

幼少期にサンタのファンタジーを壊された筆者でしたが、確かに大人になると「あらゆる物事にファンタジーを見ない」という人格に成長したと思います。たとえば結婚についても、「理想の結婚生活」や「夫はこうあるべき」といった夢もないので、ある意味ではファンタジーを見ない人格に育ったおかげでうまくいっていると感じることもあります。

サンタの存在をどのように伝えるかは、その家庭によってさまざま。しかし、筆者のようにそもそも「サンタなんていない」と親から言われてきたことで、結果としてよかったと感じる場合もあります。「子どもにサンタの正体をバラすことで、夢を壊してしまうのではないか」と不安になっている人に、筆者の経験が少しでも参考になれば幸いです。

秋山 悠紀