「サンタの存在」という夢は見させなくとも、プレゼントは買ってくれた筆者の両親。早くから子どもたちに親の働く姿やお金や物の大切さなどを教えたかったという理由もあるでしょう。しかし一番は、「世の中の現実」のようなものを、いかに早くから教えるかに注力していたのだと思います。
実際に、小学校3年生くらいになると学校の保健体育で教わるより先に、母から性について聞かされていました。子どもはどこから生まれてくるのか、人はどうやったら妊娠するのか、中絶するとはどういうことか。筆者の生まれる前に流産経験が二度あることも、母から小学生の時にすでに聞かされていました。
そして、世の中で起きている妊娠や出産を取り巻く問題も話をされ、「男の子と恋愛すると、こんなことが起こる可能性があるんだよ」と小学生の時からしばしば注意を受けていました。
さらに、中学校で高校や大学の進路を考え始める頃になると、私立と公立の学費の違いや「うちにはいくら借金がある」といったリアルなお金の話をされるように。食卓ではニュース番組を見ながら、その時の政治や政治家の話、痛ましい事件、世界の宗教問題などについて家族みんなで話していました。
要するに、両親の教育方針において「サンタの存在を肯定する」「子どもにサンタの夢を見させてあげること」は、全く必要ではなかったのです。サンタの存在を信じる大切さよりも、一人の人間として自立する大切さを説くことに力を入れていたのだろうと、今になると思います。