Mさん夫婦は、夫の実家はサラリーマン、妻の実家は家族でお店を営んでいました。そのため、結婚当初からMさんのご主人は「俺が養うから無理して働かなくてもいいよ」と話していたそう。奥さんは仕事を続けたいと思いながらも、結婚後すぐに子どもが産まれたため、しばらくは専業主婦をしていたそうです。
ある日、夫から「一日中家にいて、これだけしか家事をしないってどういうこと?」と言われました。聞けば、もっと夫の領域までフォローするべきだ、ということだったのです。実家の父は仕事をしながら家のことを手伝う姿が当たり前だったため、まさか自分がすべて担うなど考えもしなかった奥さん。
同時に、母が自分たちのお店で仕事をしていたから、父も家事に参加していたことに初めて気が付いたそうです。ご主人は、自分が仕事に専念するために妻を専業主婦にしたのに、どうして家事を完璧にこなさないのか、ということをずっと我慢していたようでした。
こちらのご夫婦の場合は、育った環境が違うこともあり、お互いの「当たり前」が違っていたようですね。お互いに違いに気づいて、早くから違いを確認しておけばよかったのかもしれませんが、「言わなくてもわかるだろう」という気持ちもあったのでしょう。コミュニケーション不足からミスマッチが起こってしまったようです。
溝の原因は「わかってくれる」「許してくれる」
夫婦は毎日会話をしているようで、実は大切な話が抜け落ちていることも多々あります。この「抜け落ち」が夫婦のすれ違いを生むことも少なくありませんよね。
例えば、夫婦の間でも「言わなくてもわかると思った」はよく使われる言葉ですが、相手に自分のバックボーンを理解しそれにあった行動を求めている証拠ですね。いくら夫婦といっても、それは心に甘えがあるのかもしれません。