補助金と助成金、どちらもお金がもらえる制度ですが、実は似て非なるものです。今回は今一度、補助金と助成金の違いについて見ていきましょう。
1. 性質の違い
補助金とは経済産業省や自治体などが、目標とする政策目的達成のために税金を使って中小企業を支援する制度です。
助成金とは、主に厚生労働省が管轄している雇用関係の助成制度です。正社員の雇用や女性や高齢者などの就業促進など、雇用に関する課題の実現に向けて取り組む事業者に対して、一定額を助成する制度です。
ただし地方自治体によっては補助金の性質のものでも助成金という場合がありますので注意しましょう。
2. 審査の有無
補助金は申し込めば必ず受給できるわけではなく、審査員による審査があります。
応募資格があるかという形式的な審査のあと、申請書類の内容審査があります。補助金によっては面談審査があるものもあります。審査に合格しなければ受給できません。
一方で助成金はあらかじめ定められた要件を満たすことで、基本的には受給できます。
たとえばキャリアアップ助成金の正社員化コースでは、半年間以上の有期契約として雇用した契約社員を、正社員に転換し一定期間経過した場合に要件が満たされ、受給できる可能性があります。補助金のようにビジネスプランの審査はありません。
3. 応募期間
多くの補助金は、いつでも募集しているわけではなく、決まった募集期間があります。締め切り期日までに申し込みしなければいけません。
助成金は、補助金のように締め切り時期が決まっていません。予算がなくなるまで応募できます。逆にいうと予算がなくなったら受け付け終了となります。受給しやすい助成金は応募が殺到するので、いかに情報を収集し素早く応募するかがポイントです。
4. 貰える金額
補助金には補助率が決められていて、使った経費に対して決められた割合が戻ってきます。たとえば補助率が2/3の場合、75万円使った経費に対して50万円が戻ってきます。補助金により1/2、2/3、3/4などまちまちです。
また、合格時には50万円もらえる計画になっていたとしても、書類内容や経費の使い方などが適切でない場合は、減額される場合もあります。
一方、助成金はある条件を満たすと50万円というように、金額が決まっているものがほとんどです。上記のキャリアアップ助成金正社員化コースでは、条件により一律57万円が助成されます。
5. いつ頃応募できるのか
補助金・助成金は国会や自治体の予算で決まります。国家予算は4月から始まる年度予算の他に補正予算という特別な予算があります。
予算は例年8月末くらいに発表になる概算要求という各省庁から出る予算案がひとつの目安になります。補正予算は秋ごろに審議があり、年明けの通常国会で決まることが多いです。補助金の多くは補正予算で募集がかかります。
補助金や助成金は原則返済不要のお金で、中小企業やスタートアップ企業、起業家が事業を進めるために有利な制度です。関心がある場合は、税理士や社会保険労務士、中小企業診断士に相談してみてはいかがでしょうか。
中野 裕哲