しかし、こうした雇用関係の統計数値だけをもって、日本は本当に深刻な人手不足と判断していいのでしょうか?
ファミマが発表した▲800人の早期希望退職
さて、冒頭に記したファミリーマートですが、24時間営業の見直しの他に、もう1つ重要な発表がありました。メディアの報道ではさほど注目されませんでしたが、それは▲800人(全社員の約1割)の早期希望退職の募集です(以下「早期退職」)。原則40歳以上という条件がありますが、割増退職金を付加して2020年2月末に実施します。
これは、リストラの類であることは明らかです。確かに、ファミリーマートの場合、コンビニ「サークルKサンクス」を展開していた旧ユニーグループ・ホールディングスとの経営統合に伴い(2016年1月実施)、間接部門のスリム化が必要だったという事情があります。それにしても、いきなり全社員の1割削減はかなり大がかりです。
店舗では深刻な人手不足に苦しむ一方で、本社機能部門では早期退職を募るという、一見するとちぐはぐな印象が拭えません。ならば、本社部門で余剰になった人員を店舗に振り向けることはできないのか?という素朴な疑問は残ります(そう単純ではないとは承知していますが)。
早期退職の実施が9年ぶりの高水準になるのは確実な情勢
実は、ファミリーマートだけでなく、昨今、早期退職の実施による人員削減が増加しています。
東京商工リサーチの調査によれば、2019年1~9月に早期退職者を募集した上場企業は27社に達し、対象人数は1万342人と6年ぶりの1万人超となりました。
10月以降もファミリーマートを始め、LIXILグループ、オンキョー、味の素、サンデンHDなどの上場企業が早期退職の募集を発表しており、2010年以来の高水準になることは確実な情勢です。しかも、これは上場企業のみが対象であり、非上場企業も含めれば相当な増加になっていると推察できましょう。
企業側に、早期退職を増やす何らかの事情があるのでしょうか?