ノーベル賞受賞者らに懐疑的な目を向けられるマイクロファイナンスに未来はあるか

2019年10月24日、スウェーデンのノーベル賞選考委員会は今年のノーベル経済学賞の受賞者をMIT教授のアビジッド・バナジー氏およびエステール・デュフロ氏、ハーバード大教授のマイケル・クレマー氏の3名に決定したと発表しました。受賞理由は「世界の貧困を緩和するための実験的なアプローチ」に対してです。

最近その動向が世界的に注目を集めるものとして、2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」で定められる、持続可能な世界を実現するための17の分野があります。

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出所:外務省ホームページ


その中でも貧困削減は「貧困をなくそう」として1つめの目標に掲げられています。


今回のノーベル経済学賞受賞はこの目標の認知度をさらに向上させ、目標達成に向けた動きを加速させるものと期待されます。

明らかにされたマイクロ・クレジットの限界

マイクロ・クレジットとは少額のローンを貧困層に向けて融資する金融サービス。これは1980年代頃から拡大しており、2006年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏率いるバングラデシュのグラミン銀行がとくに有名です。

バングラデシュの首都・ダッカのマーケット


しかしながら、今回のノーベル経済学賞受賞者であるバナジー氏、デュフロ氏等の行ったインドの大都市・ハイデラバードの貧困世帯に焦点を当てたマイクロ・クレジット・プログラムに関する初期調査の結果、既存の中小企業への投資に対してかなり小さなプラスの効果を示したものの、消費や他の開発目標については18カ月でも36カ月でも影響は見られませんでした。

これはボスニア・ヘルツェゴビナ、エチオピア、モロッコ、メキシコ、モンゴルなどの国々でのフィールド実験でも同様の結果が得られています。

参照文献:『THE PRIZE IN ECONOMIC SCIENCES 2019 - POPULAR SCIENCE BACKGROUND』

つまり、マイクロ・クレジット、少額の融資のみでは貧困削減効果は認められず、貧困層の人々の生活向上に資するとは言い難いというわけです。

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