40代女子が診断を受けない理由

1.症状が一定ではない

エピソードのような特徴はとても気になるのですが、現在のところ筆者は発達障害の診断を受けていません。その理由の1つが、いつも症状が現れるというわけではないというもの。

とくに音に対する感覚過敏は、体調や精神状態に大きく左右されます。また高音域の音に関しては、大人になり聞こえない音域も出てきたため悩まされる頻度も減りました。

また女性の場合、月経に関連するホルモンバランスなどでも、感覚過敏や不安感、いらだちなどの症状が強くなるということを知り、「今のこの症状は月経前症候群の1つかな?」などと、自分で判断できるようになったことも大きな理由です。

2.診断の難しさ

筆者のように大人になってから「発達障害では?」と思い診断を受けた場合、子供のころの状況が分からず、診断名がつかないということもあるようです。大人の場合、発達障害かどうかという判断をするためには、子供のころから症状が出ているかどうかということも重要になります。でも子供のころの記憶があいまいということも多いですよね。

筆者も悩まされていたという記憶はありますが、発症の時期や頻度などについてはあいまいです。また親など周囲の大人は症状に気づいていないこともあるため、子供の頃の情報が不足してしまい、判断がつかないということもあります。

また大人の発達障害については専門の医師による診断を受けることで、正確性が増します。しかし詳しい知識を持った医師が少ないという点でも、診断を受けることへの大きなハードルになりがちです。

他にも子供の発達障害であれば、早く診断を受けることで適切な教育などの対処につながりますが、大人では「診断されてももう遅いのでは?」と感じてしまうことも、診断を受けない理由の1つです。

3.グレーゾーンの存在

2でもお話ししたように、大人の発達障害は判断が難しく、診断名がつかない場合があります。発達障害と同じ症状があるけれど、判断基準のすべてを満たさないという状況を「グレーゾーン」と呼ぶのだそうです(※2)

専門の診療機関を受診して、発達障害と同じような症状があると分かったにもかかわらず、診断がおりず支援が受けられないということがあると聞くと、診断を受けようという気持ちがなかなかわかないというのも現実です。

大人の発達障害の診断の場合には状況によって、問診以外に頭部CTなどの生理学的検査やウェクスラー成人知能検査という心理検査なども行われます(※3)。検査内容と検査を受ける施設によっては、自費での支払いが必要なケースもあります(※4)

筆者の場合、症状の出ないときも多く、さまざまな検査をしたうえで、判断がつかない可能性が高いと考えています。そのため費用や時間の面でもハードルが高いと感じてしまい、診断を受けない理由になっています。

自分の状況と情報の確認が大切

今回は40代女性が感じる発達障害に似た症状のエピソードと、現在診断を受けていない理由をお話ししました。大人の発達障害の診断は医師でも難しい場合があり、はっきりとした診断名がつかないというケースも。

ただこの女性はさいごに、「さまざまな情報を得ることで、自分の症状や状況を知り、自分なりの対処方法を考えることもできました」と語っていました。インターネットの情報だけではなく、支援センターへの相談などで気持ちが楽になることもあります。また、診断を受けることで「生きづらさ」を解消できるようになっている人もいます。もし困っていることがあるなら放置せずに、相談した方が良いでしょう。一方で、診断を受けることにあまりメリットを感じない、抵抗がある人もいるようです。この場合は無理に「診断を受けよう!」と意気込むのではなく、情報収集したり身近な人に相談するなど、できることから向き合ってみることをおすすめします。

ご注意:本記事は発達障害をご自身で疑う女性の体験記であり、発達障害の症状などを医学的に説明するものではないことをご理解頂けますと幸いです。

参考

(※1)「発達障害とは」文部科学省
(※2)「発達障害の「グレーゾーン」って?症状が軽いこと?診断がおりない理由を説明します」LITALICO
(※3)「大人の発達障害、診断がつく場合と「グレーゾーン」はどう違う?」LITALICO
(※4)「知能検査とは? 大人の知能検査 WAIS-Ⅳ を読み解く」Kaien ENABLING EXCELLENCE

フェミエール