近年、テレビやネット記事などで見かけることが多い「発達障害」という言葉。以前は障害ではなく個人の特徴や性格と思われていたものが、実は発達障害の症状だったということを知ることが多くなりましたよね。
しかも大人になってから発達障害と診断されるケースも。そんな報道を見て、自分が悩まされている特徴と当てはまることがあると「自分も発達障害なのでは?」と思う方もいるのではないでしょうか。
今回は、「自分は発達障害かもしれない…」と思いながらも診断を受けない40代の女性に、発達障害かもしれないと思う特徴や診断を受けない理由について伺いました。
さまざまな症状がある発達障害
一口に「発達障害」といっても、自閉スペクトラム症(ASD)・限局性学習症(SLD)・注意欠陥多動性障害(ADHD)・その他の発達障害の総称で、多種多様な症状をもつ疾患です。発達障害者支援法においては、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義しています(※1)。またその症状の重さの程度も人それぞれで、発達障害と診断された方がみな同じ特性・症状というわけではないのです。
そのため「自分の悩まされている性格や特徴も発達障害からくるものなのでは?」と悩む方も多いようです。以下では、前述したように40代の女性のお話しをご紹介します。
40代女子が「もしかしたら発達障害かも…」と感じるエピソード
1.音に敏感
筆者が発達障害かもしれないと感じる症状はいくつかあるのですが、特徴的な2つについてお話しします。
発達障害の症状の1つに「感覚過敏」があります。他の人が気にならない音や光などがとても気になってしまう症状です。筆者には子供の頃から音に対して敏感なところがあり、悩まされることがありました。とくに大人には聞こえない高い音域の音に対して過敏で、他の子供が気にならない音量でもとても苦痛に感じたことを覚えています。
現在でもときどき他人よりも音が大きく聞こえたり、小さな音でも気になってしまうという悩みを抱えています。
2.急なスケジュール変更が苦手
急なスケジュールの変更があると、感情的になってしまったり、慌ててしまったりと苦痛に感じることが多いというのも、発達障害の症状と重なる筆者の特徴です。
とくに外出に関連する予定の変更が急だと、パニックとまではいかないのですが、他人よりも慌ててしまうことが多く、つい家族など近い人間にあたってしまうことも。この特徴は友人にも指摘されたことがあり、長く対処法を探っている悩みの1つです。
40代女子が診断を受けない理由
1.症状が一定ではない
エピソードのような特徴はとても気になるのですが、現在のところ筆者は発達障害の診断を受けていません。その理由の1つが、いつも症状が現れるというわけではないというもの。
とくに音に対する感覚過敏は、体調や精神状態に大きく左右されます。また高音域の音に関しては、大人になり聞こえない音域も出てきたため悩まされる頻度も減りました。
また女性の場合、月経に関連するホルモンバランスなどでも、感覚過敏や不安感、いらだちなどの症状が強くなるということを知り、「今のこの症状は月経前症候群の1つかな?」などと、自分で判断できるようになったことも大きな理由です。
2.診断の難しさ
筆者のように大人になってから「発達障害では?」と思い診断を受けた場合、子供のころの状況が分からず、診断名がつかないということもあるようです。大人の場合、発達障害かどうかという判断をするためには、子供のころから症状が出ているかどうかということも重要になります。でも子供のころの記憶があいまいということも多いですよね。
筆者も悩まされていたという記憶はありますが、発症の時期や頻度などについてはあいまいです。また親など周囲の大人は症状に気づいていないこともあるため、子供の頃の情報が不足してしまい、判断がつかないということもあります。
また大人の発達障害については専門の医師による診断を受けることで、正確性が増します。しかし詳しい知識を持った医師が少ないという点でも、診断を受けることへの大きなハードルになりがちです。
他にも子供の発達障害であれば、早く診断を受けることで適切な教育などの対処につながりますが、大人では「診断されてももう遅いのでは?」と感じてしまうことも、診断を受けない理由の1つです。
3.グレーゾーンの存在
2でもお話ししたように、大人の発達障害は判断が難しく、診断名がつかない場合があります。発達障害と同じ症状があるけれど、判断基準のすべてを満たさないという状況を「グレーゾーン」と呼ぶのだそうです(※2)。
専門の診療機関を受診して、発達障害と同じような症状があると分かったにもかかわらず、診断がおりず支援が受けられないということがあると聞くと、診断を受けようという気持ちがなかなかわかないというのも現実です。
大人の発達障害の診断の場合には状況によって、問診以外に頭部CTなどの生理学的検査やウェクスラー成人知能検査という心理検査なども行われます(※3)。検査内容と検査を受ける施設によっては、自費での支払いが必要なケースもあります(※4)。
筆者の場合、症状の出ないときも多く、さまざまな検査をしたうえで、判断がつかない可能性が高いと考えています。そのため費用や時間の面でもハードルが高いと感じてしまい、診断を受けない理由になっています。
自分の状況と情報の確認が大切
今回は40代女性が感じる発達障害に似た症状のエピソードと、現在診断を受けていない理由をお話ししました。大人の発達障害の診断は医師でも難しい場合があり、はっきりとした診断名がつかないというケースも。
ただこの女性はさいごに、「さまざまな情報を得ることで、自分の症状や状況を知り、自分なりの対処方法を考えることもできました」と語っていました。インターネットの情報だけではなく、支援センターへの相談などで気持ちが楽になることもあります。また、診断を受けることで「生きづらさ」を解消できるようになっている人もいます。もし困っていることがあるなら放置せずに、相談した方が良いでしょう。一方で、診断を受けることにあまりメリットを感じない、抵抗がある人もいるようです。この場合は無理に「診断を受けよう!」と意気込むのではなく、情報収集したり身近な人に相談するなど、できることから向き合ってみることをおすすめします。
ご注意:本記事は発達障害をご自身で疑う女性の体験記であり、発達障害の症状などを医学的に説明するものではないことをご理解頂けますと幸いです。
参考
(※1)「発達障害とは」文部科学省
(※2)「発達障害の「グレーゾーン」って?症状が軽いこと?診断がおりない理由を説明します」LITALICO
(※3)「大人の発達障害、診断がつく場合と「グレーゾーン」はどう違う?」LITALICO
(※4)「知能検査とは? 大人の知能検査 WAIS-Ⅳ を読み解く」Kaien ENABLING EXCELLENCE