5. 戸籍集めで広域交付が使えないのは?兄弟姉妹の戸籍と一部の古い戸籍

広域交付が使えない場面もあります。法務省のページが挙げる請求できる人に、兄弟姉妹は入っていません。子のいない人の相続で兄弟姉妹が相続人になる場合などは、本籍地へ郵送で請求することになります。

  • 【対象外の戸籍】コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍
  • 【対象外の証明書】一部事項証明書、個人事項証明書
  • 【請求の方法】窓口だけ(郵送・代理人は不可)

集めた戸籍の束は、法務局の「法定相続情報証明制度」で一覧図にまとめられます。法務局「法定相続情報証明制度について」によると、登記官が確認した一覧図の写しは無料で交付されます。法務局「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」によると、一覧図は申出日の翌年から5年間保存され、その間は再交付も受けられます。銀行や証券会社ごとに戸籍の束を出し直す手間を減らす方法として知っておきたい制度です。

6. 【元証券会社員の視点】検証:戸籍集めの手間は「出し先の数」で変わる

戸籍集めの手数料は、3通で約2250円でした。郵送にすると約3070円で、手数料のほかの費用は手数料の3割を超えます。

口座が銀行と証券会社など複数に分かれている方は少なくありません。手続き先ごとに戸籍の束を出すと、そのたびに原本の返却を待つことになります。

ここで見ておきたいのは、通数そのものより「出し先の数」です。戸籍を一度集めて法定相続情報一覧図にしておけば、その後の写しは無料です。手続き先が多い家庭ほど、最初の戸籍集めを1回で済ませる意味が大きくなります。

一方、広域交付は相続人が自分で窓口へ行く制度です。仕事で平日に役所へ行きにくい方や、兄弟姉妹の戸籍が要る方は、郵送のほうが進めやすい場合もあります。

手続き先の金融機関に必要な戸籍の範囲を聞いたうえで、近くの役所の戸籍の窓口で、広域交付でどこまで取れるかを確かめておくと安心です。

7. まとめ

相続の戸籍集めは、2024年3月に始まった広域交付で、本籍地が遠くても近くの役所の窓口でまとめて請求できるようになりました。父の除籍・改製原戸籍を3通集める試算では、窓口なら約2250円、郵送なら約3070円です。

コンビニ交付は本籍地への利用登録が前提で、兄弟姉妹の戸籍は広域交付の対象外です。手数料や取り扱いは市区町村で異なるため、請求の前に窓口で確かめておくと安心です。

※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。手数料の額や戸籍の取り扱いは市区町村によって異なるため、実際の請求にあたっては本籍地またはお住まいの市区町村の窓口でご確認ください。

参考資料

安達 さやか