「帝王切開は陣痛がなくて楽」「通常分娩は産んだらそこで痛みが終わり」。延々と終わることのない出産議論は今もネットを沸かせています。出産は女性にとって命がけの一大イベントです。今回、そんな出産の際「実は私、どっちの辛さもわかるかも」という体験をしたママのお話を紹介します。

最初は通常分娩の予定だった

里帰り出産で総合病院を選んだSさん。自分が産まれた病院ということに加え、帝王切開がうまいと評判の先生がいるという理由でこちらの病院を選びました。というのもSさんは30年前、42週に緊急帝王切開で産まれた赤ちゃんでした。そのため「お産はいくら現時点で順調だったとしても産むまでどうなるかわからない」と初期から覚悟していたそう。

無事里帰りしたSさん。出産予定日の一か月程前から準備をしていたものの、予定日を越えても赤ちゃんは全く出てきませんでした。そんなそわそわしていたある日。明日で41週を向かえ、促進剤も検討していたタイミングでようやく陣痛が始まりました。

ドキドキして病院に向かったSさん。しかし、陣痛はあるものの間隔は縮まらず「今夜中には出てこないと思う」と助産師さんから言われたそうです。とはいえ、定期的に痛みがあるため仮眠を取ることもできず長い夜を過ごしました。そして、病院到着から12時間ほど経った深夜。突如、腰を誰かに殴られているような激痛が始まりました。

「トンカチでも使って殴られているようだった」そうです。そんな痛みは5分間隔で数時間続き、しかしそれ以上間隔はなかなか縮まらず。「子宮口もまだまだ開いてこないね」との担当医のコメントに、思わず「これがあとどれくらい続いたら切ってもらえるんですか?」と言ってしまったSさん。「うーん、痛いのが辛いという理由では切らないかな」と先生は笑い、去っていきました。

事態は急展開を向かえる

病院到着から24時間。丸一日経ってヘトヘトの彼女を心配した助産師さんたちが先生の回診を早めてくれました。Sさんの様子をじっくりとみた先生の「よし、今すぐ帝王切開!」の合図で周りは一気に帝王切開の準備に入りました。そのころ彼女は3分間隔の陣痛にのたうち回っており、通常分娩であったらまさにピークを迎えていました。普通なら分娩台に向かいいきみ始めたいところですが、彼女が向かったのはオペ室でした。

計画帝王切開と違い、彼女は陣痛の真っ最中。帝王切開のための麻酔を打つためにじっとすることすら難しい状態です。定期的にくる痛みの間に医師・看護師・Sさんが一体となって麻酔のタイミングをはかります。そんな格闘の末、ようやく彼女は無事女児を出産しました。なんとか大仕事を終えたSさん。前日から痛みで一睡もしていなかったため、その日は倒れるように眠ったそうです。そして、翌日悲劇は起こりました。

痛みはさらに彼女を襲う!?