「お腹を切ったので、しばらく寝たきり生活になるものだと思っていました。しかし、実際は翌日から歩行の練習と母乳トレーニングが始まりました。『え?こんなに傷が痛いのに赤ちゃんを抱くの!?』その衝撃を今でも覚えています」
トイレすらまともに行けない中、赤ちゃんのお世話は容赦なくやってきます。41週お腹にいた赤ちゃんは3500gを超える元気な子供で、そのずっしりとした体を抱くたび傷がうずくのを感じたそう。前日の完全徹夜の陣痛ですべての力を出し切っていたため、その後続く激痛は想定外だったといいます。
「あとで聞いた話によると、赤ちゃんは産道で突っかかってしまっていたため、あのまま無理に下から出そうとしていたら危なかったそうです。『 鉗子で無理やり引っ張って赤ちゃんが骨折したなんて話もあるし、ママがお腹を切ったから赤ちゃんが無事出てこれたんだよ』と授乳室で出会った、同じく緊急帝王切開をしたことがあるママから励まされました。
赤ちゃんを守れた安堵感でその時はいっぱいになりましたが、当時は授乳するたびに子宮が刺激され、激痛が走る状態。『痛い、母乳って本当にあげなくちゃダメなのかな…』と人知れず夜中に何度も泣きました。よく、『帝王切開は陣痛がなくラク』なんて言われますが、私は陣痛も経験。
一方で『通常分娩は出してしまえば産後痛みがないから』と話題になりますが、お腹を切っているのでこちらもバリバリあります。力んだり下から出したりする経験はできませんでしたが、ある意味フルコース出産だった私としては、両方の痛いとこどりじゃない!?とボヤかずにはいられませんでした。」
その後、半年たってもちょっとした外部刺激で激痛が走る帝王切開の傷に、延々と苦しんだというSさん。ハーフバースデーの思い出は、娘さんに傷口を踏みつけられてのたうち回ったこと、と苦笑しながら語ってくれました。
まとめ
お話の最後に「陣痛も痛かったし、帝王切開の麻酔も痛かった。そして、のちのち痛む傷が残る帝王切開は楽なお産なのではなかったと思う」と語ってくれたSさん。この体験以外にも通常分娩の辛さ、帝王切開の辛さ、どちらもきっとさまざまな痛みがあるんだと思うとつぶやいていました。
世の中にはいろいろな性格の人がいる様に、お産もまた人それぞれ。どんな方法でも安産と感じる人もいれば痛み自体に弱い人もいます。大切な赤ちゃんを守ろうと必死に痛みに耐えるママたち。どんな出産方法でも「楽だったでしょ?」「大げさじゃない?」などと言わず、頑張ったママたちをぜひ労ってあげてくださいね。
佐渡 六花