近年、女性の社会進出や社会構造の変化により、従来型の専業主婦世帯が減少し、共働き世帯が増加傾向にあります。厚生労働省によると、平成9年以降は、共働き世帯が専業主婦世帯を上回っています。

一方で、年末調整の時に申告する扶養家族について、子どもの名前を夫のほうに記入している方がまだまだ多いのが現状です。実際は、収入状況や子どもの年齢によって、子どもを妻の扶養にした方がメリットの出るケースもあります。

また、2020年の税制改正により扶養控除の要件が変更となります。税制改正による主な変更点についても合わせてみていきましょう。

扶養とは

まず、一言で「扶養」といっても、「健康保険上の扶養」と「税法上の扶養」の2種類に分かれます。それぞれで扶養に入る条件が異なるので注意が必要です。

健康保険上の扶養

健康保険の扶養に入ると、健康保険料を支払わなくても、病気やケガで病院を利用した際に保険給付を受けることができます。

扶養に入る要件は、被保険者の収入で生計が維持されていることが必須条件となり、同一世帯に属している場合は、年間収入が130万円未満で、かつ被保険者の年間収入の2分の1未満であることが必要です。
※詳細な要件については、各健康保険組合にお問合せください。

税法上の扶養

税法上の扶養に入ると、納税者は所得控除のひとつである扶養控除を受けることができ、所得から一定の金額を控除することができます。

扶養に入る要件は、その年の12月31日時点で以下の条件にすべて該当する方です。

  • 納税者と生計を一にしていること(同居していなくても、生活費の仕送りなどがあれば該当)
  • 6親等以内の血族または3親等以内の姻族
  • 扶養親族の年間の所得が38万円以下であること
  • 青色申告者の事業専従者として給与の支払いを受けていない、または白色申告者の事業専従者ではないこと

なお、2010年から現児童手当である子ども手当が導入されたことにより、2011年から年少扶養親族の扶養控除は廃止となりました。

現在、16歳未満の子どもの場合は年少扶養親族と呼ばれ、児童手当が支給されます。つまり、扶養控除が適用されるのは、16歳以上の扶養親族がいる場合となります。

16歳未満の子どもがいる場合は?

では、16歳未満の子どもがいる場合、税法上の扶養はまったく影響がないのでしょうか。

所得税については、所得控除適用外となるため、扶養による税額の変化はありません。一方、住民税は、条件を満たしていると非課税になる場合があります。

非課税は主に生活保護受給者や未成年などが該当しますが、所得金額が一定金額を下回る場合も非課税となり、夫婦どちらかの扶養に入れることで住民税の節税につながるケースがあります。

住民税の非課税限度額とは