4. 戸建てを維持するか賃貸に移るか、決める前に確かめたいことは?工事の見積もり、支援制度、住み替え先の条件
工事の見積もりは、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターが運営する国土交通大臣指定の窓口「住まいるダイヤル」で、契約前に内容を確かめてもらうことができます。
自治体によっては、耐震化やバリアフリー化、省エネルギー化などの工事に補助や融資があります。一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」で、市区町村ごとに探せます。
「令和7年度 住宅市場動向調査」では、リフォームをした世帯のうち、リフォーム促進税制(所得税)の適用を「受けた」「受ける予定である」と答えた割合は4.3%でした(三大都市圏)。対象になる工事かどうかは、工事の前に確かめておきたい点です。
賃貸に移る場合は、家賃のほかに入居時の費用がかかり、入居の審査もあります。物件ごとの条件は、不動産会社や自治体の住まいの窓口で確かめられます。
5. 【元証券会社員の視点】検証:戸建ての維持費は「平均」と「中央値」の両方で幅をもって準備する
戸建ての維持費は、平均だけでなく中央値もあわせて見ておきたいお金です。一戸建てのリフォーム資金は平均約172万円、中央値85万円で、平均は中央値の約2倍でした。
金額の分かれ方が片寄っている数字は、平均と中央値の両方を見て、幅で考えておくと安心です。85万円から172万円程度を目安に、工事の内容ごとの見積もりで絞り込んでいく形が考えられます。
自己資金の割合は約83%で、多くの世帯が手元の資金で払っています。値動きのある資産を取り崩して充てるなら、工事の時期に合わせて、現金に移しておく時期を前もって決めておくと、相場が下がった時期に売らずに済むかもしれません。
賃貸と比べるときは、家賃は毎月の固定費、工事費は数年から十数年おきの支出という性質の違いがあります。10年など同じ期間で合計してから比べると、差の大きさがつかみやすくなります。木造の民営借家なら10年で約653万円で、平均規模の工事を1回した場合の約172万円とは、払う時期も金額の出方も違います。
住み続けるか住み替えるかは、費用だけでなく、階段の上り下りや通院のしやすさでも変わります。自宅の築年数とこれまでの工事の時期を書き出し、次の工事の見積もりを取ってみると、準備する額が見えてくるかもしれませんね。
6. まとめ
一戸建てのリフォーム資金は、三大都市圏で2024年度に工事をした世帯の平均で約172万円、中央値で85万円でした。平均の1回分は、木造の民営借家の家賃約32か月分にあたります。1981〜1990年に建った持ち家は、38.7%が2019年以降に工事をしています。
戸建てを維持するか賃貸に移るかを考えるときは、工事の見積もりを住まいるダイヤルで確かめ、自治体の補助や融資を支援制度検索サイトで探したうえで、住み替え先の家賃と同じ期間で比べてみると、判断の材料がそろうかもしれませんね。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。リフォームの費用は、住宅の規模や地域、工事の内容で変わります。実際の費用は、施工会社の見積もりでご確認ください。
参考資料
- 国土交通省「令和7年度 住宅市場動向調査」
- 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」
- 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅の構造等に関する集計(確報集計)結果」
- 国土技術政策総合研究所「戸建て木造住宅の維持管理業務に関する指針(案)参考-2 関連ツール等」
安達 さやか