5. 4年間通った場合、7系統の学費はいくら?
前章の注意点を踏まえ、ここでは4年間通うことを前提に、文・教育、法・商・経、保健、家政、芸術、体育、理・工の7系統を例に、学費の目安を試算します。6年制の学科を含む医・歯・薬・農・獣医は、試算の対象外としました。
試算の条件は次のとおりです。令和7年度入学者の平均額が4年間変わらず、入学料は入学時の1回分のみと仮定し、実験実習料とその他の費用は除いています。施設設備費の扱いは大学で異なる場合があるため、初年度のみとした場合を下限、毎年同額とした場合を上限としたものです。
- 下限の目安=入学料+授業料×4年+施設設備費(初年度の1回分)
- 上限の目安=入学料+(授業料+施設設備費)×4年
7系統の4年間の学費の目安(下限が低い順)を並べました。
- 法・商・経:下限374万9829円、上限415万5192円
- 文・教育:下限379万4793円、上限423万9528円
- 家政:下限382万5691円、上限438万2161円
- 体育:下限401万4541円、上限457万4272円
- 保健:下限448万4670円、上限521万3124円
- 理・工:下限510万1904円、上限549万2279円
- 芸術:下限517万159円、上限605万1994円
たとえば芸術の場合、入学料23万6206円に、授業料116万2円の4年分と、施設設備費29万3945円を加えた517万159円が下限の目安です。同じ4年制でも、法・商・経と芸術では、下限で142万330円、上限で189万6802円の差が出ます。
この試算には、実験実習料とその他の費用を含めていません。芸術の場合、初年度の実験実習料とその他の合計は14万5990円で、実際の負担は試算より増える可能性があります。
参考として、国立大学の標準額(令和7年度)は授業料が年53万5800円、入学料が28万2000円で、4年間の合計は242万5200円です。ただし、国立は標準額、私立は平均額という性質の違いがあり、施設設備費など含まれる費用の範囲も異なるため、単純には比べられません。なお、国立大学の授業料は、標準額の120%(年64万2960円)を上限に各大学が設定でき、東京大学など標準額を上回る授業料を設定している大学もあります。実際の金額は、各大学の募集要項で確認してください。
6. まとめにかえて|募集要項で金額を確かめましょう
私立大学の初年度納付金(総計)は、全平均で150万7647円、系統別では神・仏教の125万5943円から医の684万1248円まで幅があります。芸術は183万6143円で、全平均を32万8496円上回りました。入学定員充足率は、令和8年度の私立大学全体で102.74%でしたが、家政学の92.06%のように100%を下回る系統も残っています。
志望する系統や大学が決まったら、まず各大学の募集要項や公式サイトで、初年度と2年目以降の納付額を確認しておきましょう。世帯の状況によっては、文部科学省の「高等教育の修学支援新制度」(授業料等の減免と給付型奨学金)を利用できる場合もあります。同省のページによると、令和6年度から世帯年収約600万円(目安)までの多子世帯や私立の理工農系の学部・学科に通う学生に支援が広がり、令和7年度からは、扶養する子どもが3人以上いる多子世帯の学生が所得制限なしで、国が定める一定額まで授業料と入学金を減免される仕組みです。ここでの「扶養」は、住民税の算定で扶養人数に数えられている子どもを指し、きょうだいが卒業や就職などで扶養から外れて扶養する子どもが2人になると、多子世帯としての支援は終了します(判定は毎年10月に、前年12月31日時点の扶養状況で確認されます)。対象となる大学や世帯の要件は、文部科学省のFAQや進学先の窓口で最新の内容を確かめてください。
参考資料
- 日本私立学校振興・共済事業団「令和8(2026)年度 私立大学・短期大学等 入学志願動向」(令和8年8月)
- 文部科学省「私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
- 文部科学省「私立大学入学者の初年度学生納付金平均額」(令和7年度入学者)
- 文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」
- 文部科学省「高等教育の修学支援新制度」
- 文部科学省「令和7年度からの奨学金制度の改正(多子世帯の大学等の授業料等減免)に係るFAQ」(令和8年9月16日更新)
- 文部科学省「国立大学法人の業務運営に関するFAQ」(令和8年3月改訂版)
- 文部科学省「国立大学法人等に関する参考資料 参考資料7」(令和8年7月10日)