志望する学部の候補が見えてきても、系統ごとの学費の違いまでは把握しきれず、入学時に用意する金額に不安を感じる保護者の方は少なくありません。
文部科学省が公表した『私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果について』によると、私立大学の初年度納付金(総計)の平均額は150万7647円ですが、芸術は183万6143円、医は684万1248円と、系統によって大きく異なります。
平均額はあくまで全体の目安であり、志望する大学の実際の金額とは一致しない点に注意が必要です。
そこで本記事では、系統別の初年度納付金と、日本私立学校振興・共済事業団が2026年8月に公表した『令和8(2026)年度 私立大学・短期大学等 入学志願動向』にもとづく入学定員充足率、さらに4年間の学費の試算を順に整理します。
なお、本記事の執筆時点で文部科学省が公表している学費の調査結果は令和7年度入学者分が最新のため、充足率(令和8年度)とは年度が異なります。
1. 私立大学の初年度納付金は系統別でいくら?
同調査(昼間部592校)は、定員1人当たりの初年度納付金を、授業料・入学料・施設設備費の「合計」と、これに実験実習料やその他の費用を加えた「総計」に区分したものです。私立大学全体の平均は、合計が138万983円、総計が150万7647円でした。
系統別の初年度納付金(総計)の平均額は、次のとおりです。
- 神・仏教:125万5943円
- 法・商・経:128万1281円
- 社会福祉:129万5987円
- 文・教育:132万8595円
- 家政:143万3065円
- 体育:146万305円
- 農・獣医:163万4992円
- 理・工:166万1668円
- 保健:170万1468円
- 芸術:183万6143円
- 薬:218万1184円
- 歯:512万6150円
- 医:684万1248円
文科系の系統(神・仏教、社会福祉、法・商・経、文・教育)の平均は総計130万561円、理科系の系統(理・工、薬、農・獣医)は171万6714円、医歯系の系統(医、歯)は621万481円となっています。このほか、家政、芸術、体育、保健は、資料上「その他」の区分にまとめられています。最も低い神・仏教(125万5943円)と最も高い医(684万1248円)では、5倍以上の開きがあります。
1.1 全平均との差は? 芸術は32万8496円高い
初年度納付金(総計)の全平均150万7647円との差を、系統別に確認しましょう。全平均を下回るのは、神・仏教(25万1704円低い)、法・商・経(22万6366円低い)、社会福祉(21万1660円低い)、文・教育(17万9052円低い)、家政(7万4582円低い)、体育(4万7342円低い)の6区分です。
全平均を上回るのは、農・獣医(12万7345円高い)、理・工(15万4021円高い)、保健(19万3821円高い)、芸術(32万8496円高い)、薬(67万3537円高い)、歯(361万8503円高い)、医(533万3601円高い)の7区分となっています。
たとえば芸術の場合、授業料116万2円、入学料23万6206円、施設設備費29万3945円を合わせた合計(調査結果の表示値)は169万152円です。ここに実験実習料3万3862円とその他11万2128円が加わり、総計は183万6143円となって、全平均より32万8496円高くなります。なお、端数処理の関係で、合計の169万152円に実験実習料とその他を足すと183万6142円となり、総計の表示値とは1円の差が出る点にご留意ください。