4. 学費の数字を読むときの注意点は3つある

ここまで見てきた金額や充足率は、進学費用を考えるうえでの出発点にすぎないという点を、まず押さえておきましょう。系統別の数字を使う際に気をつけたい点を、3つ挙げます。

4.1 1 金額は定員1人当たりの平均額である

文部科学省の調査は、私立大学の「定員1人当たり」の平均額を集計したものです。個別の大学の納付金は、募集要項や各大学の公式サイトで確認する必要があります。

充足率の調査と学費の調査では、系統の名称や範囲も同じではありません。たとえば充足率の「社会科学系」と学費の「法・商・経」は近い区分ですが、含まれる学部が完全に重なるとは限らず、「家政学」と「家政」のように名称が似た区分でも、範囲は資料ごとに確かめる必要があります。前ページの一覧は、あくまで目安として見てください。

4.2 2 2年目以降の納付金は初年度と異なる

入学料の全平均は24万365円で、授業料は96万8069円、施設設備費は17万2550円、実験実習料は3万290円、その他は9万6374円となっています。初年度の総計には入学料が含まれるため、2年目以降の納付額は構成が変わる可能性がある点に注意が必要です。

施設設備費や実験実習料を毎年納めるのか、初年度のみなのかは、大学によって異なる場合があります。2年目以降に必要な学費の総額は、初年度納付金だけでは判断できません。調査の対象は学生納付金等であるため、通学や一人暮らしにかかる生活費などは別に見積もっておく必要があります。

4.3 3 修業年限は系統によって異なる

医学・歯学・獣医学と、薬学の一部は、修業年限が6年の学科を含む系統です。たとえば医は、初年度総計が684万1248円で、入学料だけでも137万5271円を占めます。初年度総計をそのまま6倍しても、卒業までの総額になるとは限りません。

各大学の修業年限や、年次ごとにかかる費用の項目は、公式情報で確かめるのが確実です。特に医・歯のように初年度の負担額が大きい系統では、この見落としが総額の見積もりに大きく響きます。

4.4 このほか:差が大きい費目は授業料と施設設備費

たとえば芸術と法・商・経の初年度総計の差は55万4862円です。内訳では、授業料の差が31万1244円、施設設備費の差が15万8824円と、この2費目で差の大半を占めます。入学料の差は1万6530円、実験実習料の差は2万8785円、その他の差は3万9479円でした。

施設設備費は、薬が33万8340円、医が105万2224円と、全平均の17万2550円を大きく上回ります。志望する系統の金額が高いと感じたときは、授業料と施設設備費のどちらが押し上げているのかを、募集要項で確かめましょう。

ここまでの3点に共通するのは、公表されている数字が「平均」であり、進学先の実際の請求額とは別物だという点です。志望校が絞られた段階で、募集要項を取り寄せ、初年度と2年目以降の納付額を並べて比べてみてください。