5. 【検証】数字から見えること:値動きは「平均価格」より「物価指数」で見る

実は、当初は「小売物価統計調査」の平均価格から値動きを比較するつもりでした。しかし、2000年11月と2025年11月を並べると、男性用コートは4万9720円から3万3016円に下がって見えます(東京都区部)。一方、消費者物価指数の男性用コートは、同じ期間でほぼ横ばいでした。

違いの主な理由は、調べている商品の違いです。総務省統計局「調査品目の新旧対照」によると、男性用コートの規格(銘柄)は2009年に、表地が「綿100%」または「綿50%以上・化学繊維混用」から「ポリエステル100%」に変わりました。つまり、2000年と2025年の平均価格は、素材の違うコートの値段を並べていることになります。

女性用コートも2009年に裏地がキュプラからポリエステルに変わっていました。平均価格を年をまたいで比べるときは、銘柄が同じかどうかを確かめる必要があります。

一方で消費者物価指数では、銘柄を変えたときに新旧の価格の差を調整して、指数がつながるようにしています。そのため、「昔より高いか安いか」を知りたいときは物価指数で、「いま買うならいくらか」の目安を知りたいときは平均価格で見る、と使い分けるのがよさそうですね。

6. まとめ

消費者物価指数で2000年11月と2025年11月を比べると、物価全体は約17%上がった一方、男性用コートはほぼ横ばい、女性用コートは約10%の上昇でした。ただし、この5年に限ると、男性用は約7.5%、女性用は約15%上がっています。

いまの値段の目安は、東京都区部の2025年11月の平均価格で男性用が約3.3万円、女性用が約4.4万円です。昔と比べた値動きは物価指数で、いま買うときの目安は平均価格で確かめてみてはいかがでしょうか。

※本記事の上昇率などは、公表された指数をもとに計算した概算です。価格や物価指数の最新の値は、総務省統計局の公表資料でご確認ください。

参考資料

塚本 奈津子