5. 代襲相続は兄弟姉妹なら甥・姪まで?甥・姪の子は代わりにならず、甥・姪の相続税は2割加算の対象

子も親もいない人の相続では、兄弟姉妹が相続人になります。兄弟姉妹が先に亡くなっていれば、その子(甥・姪)が代襲相続します(民法889条2項)。

ただし、889条2項が準用しているのは887条2項だけで、甥・姪も先に亡くなっていた場合の887条3項(再代襲)は準用していません。このため、甥・姪の子は代わりに相続人になりません。甥・姪の取り分は、亡くなった兄弟姉妹の分を人数で分けます(民法901条2項)。

  • 【子の代襲相続】孫、ひ孫と続く/相続税の2割加算なし
  • 【兄弟姉妹の代襲相続】甥・姪まで/相続税の2割加算あり

国税庁「No.4157」は、2割加算の対象の例として「被相続人の兄弟姉妹や、おい、めいとして相続人となった人」を挙げています。また、基礎控除の法定相続人の数は、相続を放棄した人がいても、放棄がなかったものとして数えます(No.4152)。

6. 【元証券会社員の視点】検証:相続税の総額は同じでも、孫の納税額は立場で変わる

今回の試算では、代襲相続の家族でも孫養子の家族でも、相続人は4人で、相続税の総額は約1159.4万円と同じでした。相続税の総額は、課税価格と法定相続人の数、法定相続分で決まるためです。

違いが出たのは、各人の納税額です。代襲相続した孫は1人約144.9万円で2割加算がなく、孫養子は取り分が6分の1と大きいうえに2割加算がかかり、約231.9万円でした。孫が相続人になる理由によって、税の扱いが分かれます。

もう1つ確かめておきたいのは納税の資金です。国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」は、相続財産の金額を土地、家屋、有価証券、現金・預貯金等、その他に分けて構成比を公表しており、相続財産には現金・預貯金等のほか、土地や有価証券なども含まれます。

孫が受け取る財産が株式や不動産中心だと、相続税を納めるために売却を考えることになるかもしれません。国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」によると、申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。

子が先に亡くなっている場合は、孫が相続人になることを家族で共有し、どの財産を誰が受け継ぐかを早めに整理しておくことが、納税の準備にもつながると考えます。

7. まとめ

子が先に亡くなっていると、孫が代襲相続で相続人になり、亡くなった子の相続分を人数で分けます。代襲相続した孫は、基礎控除の人数に数えられ、相続税の2割加算もかかりません。一方、孫養子や甥・姪は2割加算の対象です。

相続人の範囲は戸籍で確かめ、相続税の計算は国税庁の「税についての相談窓口」(電話相談センター)や税理士、相続人の確定や分け方は弁護士や司法書士といった専門家に確かめておくと安心です。

※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。実際の相続税額は、財産の評価や特例・税額控除の適用で変わります。詳しくは国税庁の資料や最寄りの税務署で確かめておくと安心です。

参考資料

安達 さやか