親が亡くなったとき、その子がすでに亡くなっていれば、子の子である孫が代わりに相続人になります。これを代襲相続といい、孫が受け取る財産にも相続税がかかる場合があります。
富裕層や法人のお客さまの資産運用のご相談を受けていた経験からお伝えすると、子が先に亡くなっている家族の相続で「誰が相続人になるか」は、財産の分け方や納税の準備を考える前に確かめておきたいテーマです。ここでは、民法の条文と国税庁の公表をもとに、代襲相続が起きる場合と孫の取り分、相続税の2割加算の扱いを整理します。
試算では、相続税を申告した人の平均的な課税価格で、配偶者と長女、先に亡くなった長男の子2人が相続人になる場合の相続税を計算します。
※課税価格1億4025万円は、国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」の被相続人1人当たりの課税価格(相続税額のある申告)です。子2人・孫2人は、国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」の妻の年齢45〜49歳の夫婦の平均出生子ども数1.81人をもとにしています。
1. 代襲相続が起きるのはどんなとき?子の死亡・相続欠格・廃除の3つで、放棄では起きない
代襲相続は、民法887条2項に定めがあります。被相続人の子が「相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったとき」は、その者の子が代襲して相続人になります。
- 【相続の開始以前の死亡】子が、被相続人より先に亡くなっていた場合
- 【相続欠格】子が、遺言書の偽造や破棄など民法891条に当たり、相続人になれない場合
- 【廃除】被相続人の請求で、家庭裁判所が子を相続人から外した場合(民法892条)
一方、子が相続を放棄した場合は、この3つに入りません。民法939条により、放棄した人は「初めから相続人とならなかったものとみなす」とされるため、その子である孫は代わりに相続人になりません。
孫も先に亡くなっていれば、ひ孫が代わりに相続人になります(民法887条3項)。ただし、被相続人の直系卑属でない人は代襲相続人になれません(同条2項ただし書き)。
2. 孫の取り分は?亡くなった子の相続分を孫の人数で分け、配偶者と子2人の家族で孫2人なら8分の1ずつ
孫の取り分(法定相続分)は、民法901条1項で、亡くなった子が「受けるべきであったものと同じ」とされています。孫が数人いれば、その分を人数で等しく分けます。
配偶者と子2人が相続人になる家族で、長男が先に亡くなり、長男の子2人が代襲相続した場合の法定相続分は次のとおりです。
- 【配偶者】2分の1
- 【長女】4分の1
- 【長男の子(孫)】8分の1ずつ(長男の4分の1を2人で分ける)
長男の子が1人なら4分の1、3人なら12分の1ずつです。長男の配偶者は、被相続人の相続人にはなりません。
法定相続分は分け方の目安で、実際の分け方は相続人全員の話し合いで決めることもできます。