6. きょうだいで分け方を決める前に、親の年金・預貯金・入る部屋の種類を共有し、最新の額を窓口や施設で確かめておく
親の施設代の分け方を話し合うときは、均等か収入に応じてかを先に決めようとせず、まず親の年金と預貯金、入る部屋の種類をきょうだいで共有しましょう。今回の試算では、親の年金が女性の平均でも、多床室と従来型個室なら年金の範囲に収まりました。きょうだいで分ける必要があるのは、親の年金と預貯金で払えない分だけです。
分け方によって、年収に占める負担の割合は変わります。今回の試算では、均等なら約6.1%と約2.3%、収入に応じると約3.3%でした。どちらを選ぶかは民法に定めがなく、家庭裁判所が決める場合も「その他一切の事情」が考慮されます。きょうだいそれぞれの事情を出し合ったうえで、話し合いで決めましょう。
居住費・食費の負担軽減には預貯金の要件があり、預貯金が500万円を超えているうちは基準費用額のままです。女性の平均の年金でユニット型個室なら、500万円を超える預貯金100万円で約3.9年まかなえる計算でした。親の預貯金で何年まかなえるかも、きょうだいで共有しておきましょう。
居住費・食費の基準費用額や負担限度額は改定されることがあります。実際の居住費・食費は施設との契約で決まり、加算や日常生活費、医療費は施設や親の状態によって変わるため、そのつど市区町村の介護保険の窓口や施設で確かめましょう。
7. まとめ
民法は、きょうだいそれぞれに親を扶養する義務を定めていますが、親の施設代を均等に分けるとは決めていません。分け方はきょうだいの話し合いで決め、まとまらなければ家庭裁判所が、親の需要ときょうだいの資力その他一切の事情を考えて定めます。
特別養護老人ホームの基準費用額で見ると、要介護3なら多床室で月約9.6万円、ユニット型個室で月約13.3万円で、厚生年金の平均ならどの部屋も年金の範囲に収まる計算でした。女性の平均の年金でユニット型個室なら月約2.1万円が足りませんが、まず親の年金と預貯金でどこまでまかなえるかを確かめ、そのうえできょうだいの分け方を考えましょう。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。実際の費用は、施設との契約、要介護度、加算、日常生活費、医療費、住んでいる市区町村などで変わります。居住費・食費と自己負担の額は市区町村の介護保険の窓口や施設で、扶養請求調停の手続きは家庭裁判所でご確認ください。
参考資料
- e-Gov法令検索「民法」
- 裁判所「扶養請求調停」
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」
- 厚生労働省 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの? - 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」
- 厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」
民法第877条の条文引用2か所にある「兄弟姉妹」だけは、法令の原文のため置換せず残しています。ここも「きょうだい」にする場合はお知らせください。