4. 親の施設代の不足をきょうだいで分けるといくら?月約2.1万円なら均等で1人約1.1万円、収入に応じると約1.6万円と約0.6万円

親の年金が女性の平均でユニット型個室に入り、足りない月約2.1万円をきょうだい2人で分ける場合を比べます。きょうだいの年収は、国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」の正社員の平均給与559万円と、正社員以外の平均給与210万円とします。

  • 【均等に分ける】1人月約1.1万円(年約12.8万円)
  • 【収入に応じて分ける】年収559万円の人が月約1.6万円(年約18.6万円)、年収210万円の人が月約0.6万円(年約7.0万円)

均等に分けると、年約12.8万円は年収210万円の人にとって年収の約6.1%、年収559万円の人にとっては約2.3%です。収入に応じて分けると、どちらも年収の約3.3%になります。

どちらの分け方も民法が定めたものではなく、話し合いで選べる考え方の一つです。家庭裁判所が決める場合も、収入の割合だけでなく、扶養義務者の資力その他一切の事情が考慮されます。

※試算の前提:足りない額は月約2万1367円(ユニット型個室の月約13万2780円−年金11万1413円)です。収入に応じて分ける場合は、年収559万円と210万円の割合(約73%と約27%)で分けました。年収は税・社会保険料を引く前の額で、きょうだいそれぞれの家族構成や生活費は考慮していません。

5. 親の施設代に親の預貯金はどう関わる?居住費・食費の負担軽減は単身なら預貯金500万円以下などが要件で、月約2.1万円の不足なら500万円を超える100万円で約3.9年

特別養護老人ホームの居住費と食費には、所得と預貯金が一定以下の人の負担を軽くする仕組み(負担限度額)があります。介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」によると、対象は世帯全員が住民税非課税の人で、段階ごとに預貯金の要件があります。

  • 【第2段階】年金収入等とその他の合計所得金額が82.65万円以下で、預貯金が650万円以下(夫婦は1650万円以下)
  • 【第3段階①】82.65万円超120万円以下で、預貯金が550万円以下(夫婦は1550万円以下)
  • 【第3段階②】120万円超で、預貯金が500万円以下(夫婦は1500万円以下)

年金収入には、遺族年金などの非課税の年金も含まれます。女性の平均の年金は年約133.7万円で、65歳以上なら公的年金等控除の110万円を引いた所得は約23.7万円です。大田区「特別区民税・都民税(住民税)が課税されない方」では、単身なら合計所得金額45万円以下で非課税のため、ほかに収入がなければ第3段階②の水準にあたります。

第3段階②の負担限度額では、ユニット型個室の居住費が1日1470円、食費が1日1420円です。月額は約11.1万円になり、女性の平均の年金とほぼ同じです。ただし、預貯金が500万円を超えているうちは基準費用額のままで、月約2.1万円の不足は親の預貯金から払う形になります。

  • 【預貯金が500万円を100万円上回る場合】月約2.1万円の不足にあてて約3.9年(約47か月)
  • 【預貯金が500万円を300万円上回る場合】約11.7年(約140か月)

施設サービス費の自己負担には、高額介護サービス費の月の上限もあります。介護サービス情報公表システムによると、住民税非課税の世帯は世帯で2万4600円、課税所得380万円未満の世帯は世帯で4万4400円です。要介護3の1割負担なら、どの部屋もこの上限の範囲内でした。