5. 香典返しの費用は相続税で差し引ける?葬式費用には含まれない

香典返しにかかった費用は、相続税の計算で遺産から差し引くことはできません。国税庁「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」は、葬式費用に該当しないものの1つ目に「香典返しのためにかかった費用」を挙げています。

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仮に香典5000円を10件いただいた場合、香典返しの目安は合計で約1万6700〜2万5000円です。この費用は香典の中から出す形になり、相続税を減らすことにはつながりません。

※試算の前提:香典5000円を10件(合計5万円)とし、香典返しの目安を3分の1から半分としています。

なお、亡くなった方本人が会社員で、その勤務先から遺族が弔慰金を受け取る場合は、別の基準があります。国税庁の相続税法基本通達3-20では、業務上の死亡なら普通給与の3年分、業務上でない死亡なら半年分までを弔慰金として扱い、超える部分は退職手当金等として相続税の対象になります。

6. 同じ3万円でも答えが分かれる理由

香典返しで迷いやすいのは、いただいたお金がすべて同じ「香典」に見えてしまうためです。実際には、上司個人の気持ちとしての香典、会社の制度としての弔慰金、職場の皆さんの気持ちをまとめた連名の香典と、性格はそれぞれ違います。

葬儀のあとは手続きが続き、お返しの判断を後回しにしがちです。いただいた香典を「誰から・いくら・個人か会社か連名か」で一覧にしておくと、忌明けの頃に改めて贈る相手が見えやすくなります。

試算では、同じ3万円でも、上司個人なら香典返しの目安は約1万〜1万5000円、10人の連名なら1人あたり約1000〜1500円、会社の弔慰金ならお返しは不要とされます。金額の大きさより、お金の性格で答えが分かれる点がポイントです。

税金の面では、社会通念上相当な範囲の会社の弔慰金には所得税が、社交上必要と認められる個人の香典には贈与税がかかりません。一方で、香典返しの費用は相続税の葬式費用に入りません。受け取る側と返す側で、税の扱いが同じではない点も押さえておきたいところです。

お返しの形に1つの正解があるわけではありませんが、目安の数字を知っておくと、品選びで迷う時間は短くなります。会社の規程や地域の慣習も確かめながら、感謝の伝え方を決めましょう。

7. まとめ

香典返しの目安は香典の3分の1から半分で、上司から3万円なら約1万〜1万5000円です。当日の品が目安に届かなければ、忌明けの頃に差額分を贈るのが一般的です。会社の弔慰金は一般にお返し不要とされ、連名の香典は1人あたりの額で考えます。

香典や社会通念上相当な弔慰金には所得税・贈与税がかかりませんが、香典返しの費用は相続税の葬式費用として差し引けません。弔慰金の規程は勤務先ごとに違うため、総務・人事の担当部署で確かめておくと安心です。

※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。香典返しの目安や時期は、地域や家庭の慣習によって異なります。会社の弔慰金の支給の有無や金額は勤務先の規程によって異なります。税金の扱いは状況によって変わる場合があるため、勤務先の担当部署や税務署でご確認ください。

参考資料