6. 入居一時金の返還は、家族とも共有しておきたい

入居一時金は、退去の時期によって戻る額が大きく変わります。入居する本人が契約の内容を理解していても、退去や入院、万一のときに家族が返還の条件を知らなければ、手続きや問い合わせで慌ててしまうことがあります。

入居者が亡くなって契約が終わった場合も、返還の対象になる場合があります。返還金をどこに、誰に支払うのかは入居契約書に書かれているため、契約の段階で家族と一緒に確かめておくと安心です。返還金の扱いと相続の手続きとの関係は個別の事情で変わるため、不明な点は各ホームや市区町村の窓口に確認しましょう。

今回の試算では、入居90日で退去すると約676.5万円が戻りますが、倒産に備えて守られる額の下限は500万円です。戻る額と守られる額は同じとは限らないため、保全の内容も書面で確かめておきましょう。

金額が大きい費用だからこそ、「いつまでなら、いくら戻るのか」を書面で確かめてから契約することが大切です。

7. まとめ

老人ホームの入居一時金は、入居後3か月以内の退去なら日割りの家賃などを除いて原則戻り、3か月を過ぎると初期償却の分を除いた額が、償却期間の残りに応じて戻ります。平均702万円で試算すると、3か月を境に戻る額は約158.7万円変わります。

契約の前には、重要事項説明書の「前払金の受領」欄で、償却期間・初期償却率・返還金の算定方法・保全先・解約予告期間を確かめておきましょう。返還で困ったときは、都道府県などの担当窓口や地域包括支援センター、消費生活センター(188)に相談できます。

※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。実際の返還額は、ホームごとの入居契約書・重要事項説明書の算定方法によって異なります。契約の前に、各ホームの書面でご確認ください。

参考資料