3. 入居一時金が戻る前に老人ホームが倒産したら?保全措置は「残りの額」と500万円の低い方以上
前払金の保全措置の中身は、厚生労働省告示(平成18年厚生労働省告示第266号)で決まっています。方法は、銀行などによる連帯保証、保険会社の保証保険、信託会社などとの信託契約、高齢者の福祉を目的とする一般社団法人・一般財団法人との保全の契約のいずれかです。
守られる額(保全金額)は、前払金のうち「あらかじめ契約で定めた予定償却期間のうち残っている期間に係る額」と「500万円」の、いずれか低い方の金額以上です。平成18年3月31日までに届け出たホームも、令和3年4月1日以降に入居した人の前払金は、保全措置の対象になっています。
- 【入居した直後】残りの額は約543.4万円。保全金額は500万円以上
- 【入居6か月】残りの額は約492.4万円。保全金額はその額以上
- 【入居1年】残りの額は約441.5万円。保全金額はその額以上
※試算の前提:上の章と同じ。「残りの額」は、初期償却を除いた額から、経過した月数分の償却を差し引いて求めました。
試算の前提では、残りの額が500万円を下回るのは入居から6か月目です。それまでは、保全金額の下限は500万円で決まります。実際にどの方法で、いくらまで保全しているかはホームごとに違うため、契約前に書面で確かめましょう。
4. 老人ホームの入居一時金は契約前に何を確かめる?重要事項説明書の「前払金の受領」欄の5項目
指針は、重要事項説明書を入居の相談があったときに渡すことと、契約の前に十分な時間の余裕をもって説明し、説明した人と受けた人が署名することを求めています。前払金を受け取るホームの重要事項説明書には、様式上、次の欄があります。
- 【想定居住期間(償却年月数)と償却の開始日】何か月で償却し、いつから数えるか
- 【初期償却額・初期償却率】3か月を過ぎた退去で戻らない額
- 【返還金の算定方法】入居後3か月以内の契約終了と、3か月を超えた契約終了の2つに分けて書く欄
- 【保全措置の方法と保全先】連帯保証をする銀行などや、信託契約をする信託会社などの名前
- 【入居者からの解約予告期間】退去を申し出てから契約が終わるまでの月数
入居契約書にも、前払金の返還金の有無、返還金の算定方式と支払時期を書くことが指針で求められています。重要事項説明書と入居契約書の両方で、同じ数字になっているかを見ておくと安心です。
5. 老人ホームの入居一時金の返還で困ったら?契約書を確かめたうえで、自治体の窓口や消費生活センターへ
退去後に戻った額が思っていたより少ない、支払いまでに時間がかかっているといったときは、まず入居契約書と重要事項説明書で、返還金の算定方法と支払時期を確かめます。そのうえで、計算の内訳を書面で示してもらうよう、ホームに頼むことができます。
それでも話がまとまらないときの相談先には、次の窓口があります。
- 【都道府県・指定都市・中核市の有料老人ホームの担当窓口】有料老人ホームの届出を受け、指導をしている窓口
- 【市区町村の高齢者福祉の窓口・地域包括支援センター】住まいや介護についての相談
- 【消費生活センター】契約のトラブルの相談。消費者ホットライン「188」で近くの窓口につながる