近年では男性の育児休業取得者の話をウワサで聞くこともありますが、まだまだ少数派です。そして働く女性の育休も、取得までの過程は平たんではありません。

厚生労働省の育児休業取得者に関するデータ平成30年度雇用均等基本調査によると、確かに女性の82.2%(前回83.2%)が育休を取得できていますが、男性は6.16%(前回5.14%)ほど。

産休・育休は依然として女性だけが背負う傾向にあり、また様々な理由から「マタニティハラスメント(マタハラ)」を受けるケースもなくならないのです。

マタハラ経験談から見えてくる「育休取得」という困難

職場で妊娠の報告をしたら遠回しに退職を促された…産休育休にまつわるトラブルは皆さんもよく耳にすることがあると思います。「育休って、周りの同僚に迷惑かかるよね」「おめでたいけど、いつまで仕事続けるの?」などという言葉をはじめ、無理な勤務条件を突きつけられたり、退職せざるを得ない状況に追い込まれたり。

妊活・妊娠・育児の情報サイト「赤ちゃんの部屋」による調査では、「経産婦の3人に1人がマタハラにあったことがある」との結果を報告しています。ただでさえ体調の維持が難しい時期、周囲との軋轢に直面してしまう。これが働く女性の現実なのでしょうか。

育休からやっと復帰!でもワーママに待ち受ける困難

育休を取得して保育園も決まった、職場に復帰できた。そういう再出発を果たしたばかりのワーママさんにも、大きな困難が待ち受けています。2歳の女の子のママ・Aさんの体験談を見てみましょう。

「産休が明けて職場復帰したけれど、保育園に入園したばかりの娘が次々病気をもらってしまいます。発熱すると園から急な呼び出しが入るし、夫が対応するのは無理。身内も近くにいないため、だれにも頼れません。なかなか出勤できず、たまたま久しぶりに出社した日が、間の悪いことに給料日でした。上司にイヤミも言われ、本当のことで仕方のないのですが、悔しさでいっぱいです」

職場の受け止め方も、子育て中の社員の多さによって左右される部分もあるかもしれません。しかしこのような空気の中で子育てと仕事を両立するする苦労は並大抵ではないでしょう。

次の妊娠をためらってしまう

また、これまでの職場の反応により、次の妊娠を難しいと感じているケースもあります。育休復帰後のBさんは、第2子が欲しくても実現できそうにないと話してくれました。「年齢的なこともあり、本当は二人目もすぐ欲しいのですが、育休から復帰したばかり。運よく仕事の第一線に戻ることができました。でも次の育休、取れるかどうか」と語ります。

職場でのこれまでの育休トラブルを見てきた経緯もあり、本当は次の子を希望しているのに…あきらめの気持ちになってしまうようです。もし育休経験者の多い職場であれば、二人目、三人目と休みも取りやすいかもしれませんが、これも職場により大きく異なります。

マタハラを主張する同僚に困惑「仕事のしわ寄せ」問題