結婚や妊娠の報告をきっかけとして経験したマタハラ。「そんな会社辞めて正解」という意見もありますが、一方で「上司の気持ちも分かる」「同僚の気持ちも考えてあげなくては」という意見もあります。育休の社員を支える人員を、すぐに確保できる会社ばかりではないからです。業務を配分していても誰かにしわ寄せが行ってしまう、不満が溜まってしまうという状況も起こりやすくなります。

気を付けたい権利の主張と日頃からの相互協力

職場の理解がなかなか得られないと嘆きたくなる女性もいるでしょう。しかし一方で、「育休は権利」「周囲はサポートしてほしい」という態度の女性もいるようです。そのような主義主張の強い「モンスター系」の育休取得者がいると、困惑した同僚はそれ以降、批判的になってしまいます。

例えば年次有給休暇について。本来、労働者であれば希望の日程での取得が認められているはずですが、どのくらいの人が実現できているでしょうか。そういう環境で産休・育休という存在を考えてみると「長期間の人員不足は仕事の負担が大きい」「急に早退したり、休んだりが発生するはず」「特定の人に業務のしわ寄せがくる」という心理が働くこともあるでしょう。

そのため職場では、平常から周囲との相互協力が重要です。「今回は支えてもらう。別の機会には自分がフォロー側に回る」という気持ちで信頼を積み重ねていくことが大切になるでしょう。

さいごに

マタハラなど職場で理不尽な扱いを受けてしまうと、心が折れそうになります。企業としても本来であれば柔軟性のある人材管理を進めるべきなのでしょう。ただ、現在の日本経済の状況では企業努力にも限界があり、ハラスメントの防止対策が叫ばれても、すぐに改善していくとは限りません。

今、苦しい立場にあり狭い選択肢の中を進んでいるかもしれませんが、育休取得者はその選択に自信をもってください。職場復帰するには保育園の問題もクリアして、家事も育児も同時並行で、並大抵の努力では成し得ないと思います。しかし産休・育休を取得できる働き方や時短勤務を選択できる環境は、立ち止まって考えてみるとある意味、恵まれているといえるのかもしれません。

ソニー生命による「女性の活躍に関する意識調査2019」によると、専業主婦の74.0%が「老後の生活が心配」、約7割(69.1%)が「子育て後の再就職は厳しい」と実感しているのです。育休を取得して働き続けるという努力と能力を、社会の中で発揮していってほしいと思います。

LIMO編集部