3. 誕生月の特例で見落としやすい3つのポイント
誕生月の特例は自動的に適用される場面が多い一方、細かな条件には注意が必要です。
ここでは、見落としやすいポイントを3つ取り上げます。
3.1 1.世帯で医療費を合算するときは、誕生月の上限額の扱いを確認
西宮市の案内では、誕生月に2分の1になるのは個人単位(外来・入院)の上限額で、世帯ごとの上限額は変わらないと説明されています。一方、広域連合の案内には、誕生月の限度額が表の2分の1とだけ示されているものもあり、世帯単位の扱いは案内によって表現が異なります。
夫婦で医療費を合算する場合などは、誕生月の上限額がいくらになるか、加入先の保険者や後期高齢者医療広域連合に確認しておきましょう。
3.2 2.払い戻しは切り替え前と切り替え後の保険でそれぞれ行われる
高額療養費は保険ごとに計算されるため、払い戻しの手続きも、それまで加入していた保険と後期高齢者医療制度のそれぞれの案内に沿って進めることになります。
申請書の送付や申請の要否は保険者によって異なる場合があります。誕生月に医療費がかさんだときは、両方の保険者からの通知を確認しておくと安心でしょう。
3.3 3.扶養されていた家族も、誕生月の上限額が半額になる場合がある
会社の健康保険に加入していた本人が75歳で後期高齢者医療制度に移ると、扶養されていた75歳未満の家族は国民健康保険などに加入し直します。
広島市の案内によれば、このとき家族が国民健康保険に加入する場合も、加入月の個人単位の上限額が加入前の保険と国民健康保険でそれぞれ2分の1です。本人だけでなく、扶養されていた家族の医療費も確認しておくとよいでしょう。なお、1日生まれの人が対象外となる点が家族にも当てはまるかは、加入先の保険者に確認してください。
4. 令和8年8月から始まった「年間上限」もあわせて確認
令和8年8月診療分からの見直しでは、月ごとの上限額に加えて、年間の上限額も設けられました。
愛知県後期高齢者医療広域連合の案内では、年間上限は8月から翌年7月までの1年間で計算するとのことです。
- 外来(個人ごと)の年間上限:21万6000円(一般区分)
- 外来+入院(世帯)の年間上限:一般Ⅱ(2割負担)は53万円(年収約200万円未満などと確認できた場合は41万円)
- 住民税非課税等の区分Ⅱ:外来の年間上限9万6000円、外来+入院の年間上限29万円
- 住民税非課税等の区分Ⅰ:外来+入院の年間上限18万円
同広域連合の案内では、一般Ⅱの人でも年収約200万円未満であることが確認できた場合は年間上限41万円を適用し、令和9年8月以降に払い戻すとされています。
誕生月の特例は月ごとの上限額に関するしくみで、年間上限の扱いとは別のものです。75歳の前後で加入する保険が変わる年は、年間上限の計算がどうなるかも加入先に確認しておきましょう。
5. まとめにかえて|75歳の誕生月は保険証と医療費の通知を確認
75歳の誕生月は、それまでの保険と後期高齢者医療制度にまたがるため、高額療養費の上限額がそれぞれ2分の1になる特例があります。
令和8年8月診療分からの一般区分なら、外来の上限は1万1000円ずつ、外来+入院は3万750円ずつとされています。ただし1日生まれの人は対象外となります。世帯単位での扱いは、加入先に確認しましょう。
誕生月に入院や手術の予定がある人は、加入している保険の窓口や後期高齢者医療広域連合に、上限額と払い戻しの手続きを事前に確認しておきましょう。
上限額の適用や払い戻しの手続きは、加入先の保険者に問い合わせてください。
参考資料
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(2026年7月31日更新)
- 厚生労働省「高額療養費制度の見直し」資料(令和8年7月までの旧額、令和9年8月の見直し)
- 愛知県後期高齢者医療広域連合「自己負担限度額」(2026年7月15日更新)
- 東京都後期高齢者医療広域連合「高額療養費」(2026年8月1日更新)
- 西宮市「後期高齢者医療制度の高額療養費の支給」(2026年8月17日更新)
- 広島市「高額療養費の支給(後期高齢者医療制度)」(2026年8月1日更新)
池上 翠