3. 調査結果を読むときの注意点が3つあります

3.1 1つ目:回答率は1割前後

回答率は延滞者が8.2%、無延滞者が12.7%でした。
回答した人の傾向を示すものであり、延滞者全体や返還者全体にそのまま当てはまるとは限りません。

3.2 2つ目:理由は複数回答

延滞の理由は複数回答のため、割合を足しても100%にはなりません。
「本人の低所得」を選んだ人が、ほかの理由も同時に挙げているケースもあります。

3.3 3つ目:年収は「本人」の年収

ここで紹介した年収は、本人の年収です。
世帯全体の収入や、返還月額ごとの負担感までは、この結果だけでは読み取れません。
見落としやすい点なので、自分の家計に当てはめて考えるときは注意してください。

4. 制度を知ったのは「督促後」が半数 返還が苦しいときの相談先

4.1 返せないと思ったとき、最初に何をすればいい?

返還が難しいときの制度、知った時期の違い4/4

返還が難しいときの制度、知った時期の違い

出所:日本学生支援機構「令和6年度奨学金の返還者に関する属性調査結果」をもとにLIMO編集部作成

返還が難しくなった場合の仕組みとして、返還期限猶予と減額返還があります。
ところが、制度を知った時期には差が出ていました。

返還期限猶予の認知率は、延滞者が80.9%、無延滞者が62.6%です。
返還が始まる前に知っていた人は、無延滞者の41.7%に対し、延滞者は10.9%でした。

延滞者の50.2%は、返還期限猶予を「延滞督促を受けてから知った」と答えています。

減額返還制度でも似た傾向です。
認知率は延滞者が57.4%、無延滞者が48.9%でした。

返還が始まる前に知っていた人は、延滞者でわずか7.2%にとどまり、無延滞者は34.5%です。
延滞者の35.6%は「延滞督促を受けてから知った」と回答しました。

延滞したときに最初にとった行動については、延滞者の26.3%が「奨学金相談センターに電話した」と答えています。
一方で、「何もしなかった」という人も11.9%いました。

申込前に返還の義務を知っていた割合は、無延滞者の87.7%に対し、延滞者は60.1%でした。
返還の仕組みや相談先を早めに知っておくことが、対応の分かれ目になりそうです。

日本学生支援機構の公式ページ「返還が難しくなった場合」には、制度が3つ掲載されています。
減額返還制度(月々の返還額を少なくする)、返還期限猶予(返還を待ってもらう)、死亡または精神もしくは身体の障害による返還免除です。
利用の条件や期間、申請方法は、公式ページや窓口で確認が欠かせません。

制度の内容は見直されることもあるため、最新の情報は日本学生支援機構に確認してください。
手続きに迷ったときは、公式サイトの「返還に関するお問い合わせ」ページや、「奨学金相談サイト」のQ&Aも手がかりになります。

5. まとめにかえて|返還が重いと感じたら、督促を待たずに確認を

調査からは、延滞の理由として「本人の低所得」が最も多く挙がり、制度を知る時期も遅れがちな状況が読み取れました。
返還に不安を感じたときは、次の順で動いてみてはいかがでしょうか。

  1. 毎月の収入と支出、奨学金の返還額を書き出して整理する
  2. 日本学生支援機構の公式ページで、減額返還や返還期限猶予の内容を確かめる
  3. 督促状が届く前に、公式の問い合わせ窓口へ相談する

返還の滞りは、努力不足だけでは説明しきれない面があります。
一人で抱え込まず、早い段階で公式の制度や窓口を確認しておきたいところです。

参考資料

池上 翠