4. 勤労者世帯の手取りの平均と中央値、可処分所得は平均が月53万2408円、中央値が月48万2966円

家計調査では、二人以上の世帯のうち勤労者世帯について、収入の平均と中央値も集計されています。

4.1 実収入は平均が月65万3901円、中央値が月58万811円

世帯の税込みの収入にあたる実収入は、平均が月65万3901円、中央値が月58万811円で、差は7万3090円でした。実収入から税金や社会保険料を差し引いた手取り(可処分所得)は、平均が月53万2408円、中央値が月48万2966円で、差は4万9442円です。

4.2 手取りの平均と中央値の差は、生活費の差より小さい

勤労者世帯の生活費は、平均と中央値の差が6万5342円でした。手取りの差の4万9442円より大きく、生活費のほうが世帯ごとのばらつきが大きいことがうかがえます。生活費は車の購入や家族の行事など、その月の出来事で大きく変わることがあるためです。

4.3 中央値どうしを足したり引いたりしても、真ん中の世帯の金額にはならない

中央値は、項目ごとに真ん中にあたる世帯が違います。二人以上の世帯の費目別の中央値を10の費目すべて足すと19万5701円で、生活費全体の中央値の25万4029円とは一致しません。同じように、手取りの中央値から生活費の中央値を引いても、真ん中の世帯の黒字にはならない点に注意が必要です。

5. 【元銀行員の視点】生活費を平均や中央値と比べるときは、比べる期間と費目をそろえる

銀行で資産運用のご相談を受けていた頃、毎月いくら積み立てに回せるかを考えるご家庭とは、生活費について次の点を一緒に確かめていました。

5.1 1か月分ではなく、数か月分の家計簿の平均で比べる

家計調査の生活費は、1年間の毎月の数字を平均したものです。自分の家計の1か月分だけを取り出すと、車検や家電の買い替えがあった月とそうでない月で大きく変わります。3か月から半年分の家計簿の平均を出してから比べると、ふだんの生活費の水準が見えやすくなります。

5.2 車や家電など年に数回の出費は、毎月の生活費と分けて積み立てる

交通・通信や家具・家事用品で平均が中央値を大きく上回るのは、車や家電の購入がある月の支出が大きいためです。こうした出費は毎月の生活費とは分けて、年間でいくらかかりそうかを見積もり、専用の口座に毎月積み立てておくと、出費が重なった月に貯蓄を取り崩さずにすみます。

5.3 物価の影響は、前の年の同じ月の家計簿と比べて確かめる

日銀の調査では、1年前と比べた物価の実感は平均値でプラス16.2%、中央値でプラス10.0%でした。ただ、実感は買っているものによって人それぞれです。自分の家計で物価の影響を確かめるなら、食料や光熱・水道など毎月かかる費目を、前の年の同じ月の家計簿と比べると、値上がりの影響がどの費目に出ているかが分かります。

6. まとめ

家計調査(2025年平均)で、二人以上の世帯の生活費は平均が月31万4001円、中央値が月25万4029円で、差は5万9972円でした。費目別では交通・通信の差が2万3202円と最も大きく、住居と教育は中央値が0円です。食料や光熱・水道は、平均と中央値の差が小さくなっています。

日銀の2026年9月調査でも、1年前と比べた物価の実感は平均値が16.2%、中央値が10.0%の上昇と、平均値が中央値を上回りました。自分の家計と比べるときは、数か月分の平均を費目ごとに出し、平均と中央値の両方と見比べておきましょう。

参考資料

和田 直子