生活費の「平均」と自分の家計を比べて、平均より少ないから大丈夫、あるいは多いから使いすぎだと感じたことがある人もいるかもしれません。ただ、平均は一部の世帯の大きな支出に引っ張られやすい数字です。
総務省の家計調査(2025年平均)では、二人以上の世帯の1か月の生活費(消費支出)の平均は31万4001円でした。一方で、生活費の少ない順に世帯を並べたときにちょうど真ん中にあたる「中央値」は25万4029円で、平均より5万9972円少なくなっています。
この記事では、生活費の平均と中央値の違いを費目別に確認し、日本銀行が2026年10月13日に公表した「生活意識に関するアンケート調査」で、物価の上がり方の実感が平均値と中央値でどう違ったかも見ていきます。
1. 家計調査2025年、二人以上の世帯の生活費は平均が月31万4001円、中央値は月25万4029円
家計調査は、総務省が全国の世帯の収入と支出を毎月調べている統計です。2025年平均の詳細結果表では、生活費の平均金額とあわせて中央値も集計されています。
- 二人以上の世帯:平均31万4001円、中央値25万4029円
- うち勤労者世帯:平均34万6297円、中央値28万955円
家計調査の生活費(消費支出)は、食料や住居、光熱・水道など日々の暮らしにかかるお金で、税金や社会保険料、住宅ローンの返済は含みません。
1.1 中央値は、生活費の少ない順に世帯を並べたときにちょうど真ん中の世帯の金額
平均は、すべての世帯の生活費を足して世帯数で割った金額です。車の購入やリフォームなどで生活費が大きく膨らんだ世帯があると、平均はその分だけ上に引っ張られます。中央値は金額の順に並べた真ん中の値なので、一部の世帯の大きな支出の影響を受けにくくなります。
二人以上の世帯では、中央値の25万4029円は平均の31万4001円の約8割の水準です。なお、家計調査の年平均の中央値は、毎月の中央値を平均して算出されています。
1.2 勤労者世帯の生活費は平均34万6297円、中央値28万955円で差は6万5342円
二人以上の世帯のうち、世帯主が会社や官公庁に勤めている勤労者世帯では、生活費の平均が月34万6297円、中央値が月28万955円でした。平均と中央値の差は6万5342円で、二人以上の世帯全体の差(5万9972円)より大きくなっています。
2. 費目別の生活費の平均と中央値、差が最も大きいのは交通・通信の2万3202円
二人以上の世帯の生活費を10の費目に分け、平均と中央値を並べました。
- 食料:平均8万9754円、中央値8万3232円
- 住居:平均1万8665円、中央値0円
- 光熱・水道:平均2万4544円、中央値2万2767円
- 家具・家事用品:平均1万2869円、中央値5907円
- 被服及び履物:平均9702円、中央値3707円
- 保健医療:平均1万5785円、中央値8149円
- 交通・通信:平均4万5562円、中央値2万2360円
- 教育:平均1万1936円、中央値0円
- 教養娯楽:平均3万796円、中央値1万6490円
- その他の消費支出:平均5万4387円、中央値3万3089円
2.1 交通・通信とその他の消費支出、教養娯楽は平均が中央値を大きく上回る
平均と中央値の差が最も大きいのは交通・通信の2万3202円で、中央値は平均の半分以下でした。交通・通信には自動車の購入費が含まれ、車を買った月の世帯が平均を押し上げます。交際費や仕送り金などを含むその他の消費支出は2万1298円、旅行や月謝などを含む教養娯楽は1万4306円の差です。
2.2 食料と光熱・水道は、平均と中央値の差が小さい
食料は平均8万9754円に対して中央値8万3232円で、差は6522円でした。光熱・水道は平均2万4544円、中央値2万2767円で、差は1777円です。どの世帯でも毎月かかる費目は、平均と中央値が近くなっています。
2.3 住居と教育は中央値が0円
住居と教育は、中央値が0円でした。毎月の中央値が0円ということは、どの月も半数以上の世帯がその費目の支出をしていなかったことを示しています。住居は家賃や修繕費で、持ち家で住宅ローンを返している世帯の返済額は含まれません。教育は授業料や補習教育の費用で、子どもが就学していない世帯は0円になります。
3. 日銀の生活意識に関するアンケート調査(2026年9月調査)、物価の実感は平均値が16.2%、中央値が10.0%の上昇
日本銀行は2026年10月13日に、「生活意識に関するアンケート調査」(第107回)の結果を公表しました。全国の満20歳以上の個人4000人を対象に、2026年8月3日から9月4日にかけて行った調査で、有効回答者数は1972人(有効回答率49.3%)です。
3.1 1年前より物価が「上がった」と答えた人は95.5%
現在の物価を1年前と比べた実感は、「かなり上がった」が68.9%、「少し上がった」が26.6%で、合わせて95.5%でした。物価が何%程度変化したと思うかを数値で聞いた結果は、平均値がプラス16.2%(前回6月調査はプラス16.5%)、中央値がプラス10.0%(前回もプラス10.0%)です。
この平均値は、極端な回答を除くために上下0.5%ずつの回答を除いて計算されています。全員の回答の単純平均はプラス16.9%でした。生活費と同じく、物価の実感でも平均値が中央値を上回っています。
3.2 1年後の物価は平均値11.8%、中央値10.0%の上昇を見込む
1年後の物価が現在と比べて何%程度変化すると思うかは、平均値がプラス11.8%、中央値がプラス10.0%でした。1年前と比べて支出を増やしたものは「食料品」との回答が最も多く、次いで「日用品」「自動車(ガソリン等)」でした。支出を減らしたものは「外食」が最も多く、次いで「衣服、履物類」「旅行」の順でした。
家計調査の2025年平均では、二人以上の世帯の生活費は平均が月31万4001円、中央値が月25万4029円でした。交通・通信や教養娯楽のように、一部の世帯の大きな支出で平均が上がる費目もあれば、食料や光熱・水道のように平均と中央値が近い費目もあります。
自分の家計を比べるときは、生活費の総額だけでなく、費目ごとに平均と中央値の両方を見ると、どの費目が多いのかをつかみやすくなります。
ここからは、勤労者世帯の収入と手取りの平均と中央値を確認し、銀行でご相談を受けていた頃の経験から、生活費を平均や中央値と比べるときに確かめたいことを見ていきます。