4. 契約前に知っておきたい「法律上の注意点4つ」

勧誘された状況によって使える制度は異なるため、Web会議での勧誘を中心に整理していきましょう。

4.1 Web会議での勧誘は電話勧誘販売に当たる場合がある

SNS広告で知った事業者からWeb会議サービス等で勧誘を受けて契約したケースは、特定商取引法上の電話勧誘販売に該当する場合があります。国民生活センターが注意を呼びかけている点です。

消費者庁の「特定商取引法の解説」で、IP電話などインターネット回線を使った通話も電話に含まれるとされている点も押さえておきましょう。

4.2 電話勧誘販売には8日間のクーリング・オフがある

電話勧誘販売には、クーリング・オフ制度があります。法律で定められた契約書面を受け取った日から8日以内であれば、契約を解除できる仕組みです。起算点は契約日ではなく、書面を受け取った日となる点に注意しましょう。

国民生活センターは、特定商取引法に定める契約書面が交付されていない場合も、クーリング・オフが可能という説明です。

「この講座を受ければ仕事を提供するので収入が得られる」といった勧誘で契約した場合も、対象となる場合があります。解約時の不当な解約料など、消費者に一方的に不利な条項は、消費者契約法で無効となる場合もあるとのことです。

4.3 「事業者間契約だから解約できない」と言われたら

副業のための契約では、事業者間契約を理由に解約を断られたという相談が寄せられました。国民生活センターは、契約時点で事業を行っていないなど、実態として消費者に当たる場合は、クーリング・オフができる場合があるとしています。

個人事業主扱いを理由に拒まれても、すぐにあきらめず、消費生活センターへ相談しましょう。

4.4 SNS広告から通信販売で申し込んだ場合は?

通信販売には、原則としてクーリング・オフ制度がありません。ただし、実態が電話勧誘販売に当たる場合は、電話勧誘販売の規定が問題になります。

勧誘の流れで適用される法律が変わるため、誰とどのようなやり取りをしたかを記録しておくとよいでしょう。広告に解約や返品の条件が表示されていれば、その内容も確認が必要です。

4.5 契約前のチェックリスト

  • 勧誘が目的であることを、事前に伝えられていたか
  • 月々の支払額だけでなく、総額を把握できているか
  • 解約の方法、解約料の有無、返金の条件を読んだか
  • 「簡単に稼げる」「すぐ元が取れる」という説明を、うのみにしていないか
  • その場で決めず、契約書面を持ち帰って検討できるか

契約前のチェックフロー3/4

トラブル回避のための契約前チェックフロー図

出所:国民生活センター「ビジネス講座のトラブルにご注意」、消費者庁「特定商取引法ガイド」をもとにLIMO編集部作成

5. 教育訓練給付制度は使える?給付率と対象者を確認

学び直しの費用を抑える公的な仕組みに、雇用保険の教育訓練給付制度があります。厚生労働大臣が指定した講座を修了した場合に、受講費用の一部が支給される制度です。

受講開始が令和6年10月1日以降の場合の給付率と上限額は、次のように整理できます。

  • 一般教育訓練:受講費用の20%、上限10万円
  • 特定一般教育訓練:受講費用の40%(上限20万円)。資格取得等をして修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、10%(年間上限5万円)が加わり、最大50%・上限25万円
  • 専門実践教育訓練:受講費用の50%(年間上限40万円)。資格取得等で20%、受講後の賃金上昇で10%が加わり、最大80%・年間上限64万円

たとえば受講費用が100万円の場合、一般教育訓練は最大10万円、特定一般教育訓練は最大25万円が給付の目安です。専門実践教育訓練は、条件がそろえば年間で最大64万円が目安となります。

給付は、受講費用を自分で支払ったうえで受け取る仕組みです。一般と特定一般は修了後、専門実践は受講中に6か月ごとの支給となります。

対象は、雇用保険の被保険者、または被保険者でなくなってから1年以内の方で、加入期間などの要件を満たすことが前提です。加入期間は原則3年以上ですが、初めて受給する場合は短縮される区分もあります。

雇用保険に加入していないフリーランスなどの方は、対象外です。

厚生労働省が公表した「専門実践教育訓練の指定講座(令和8年10月1日付け指定)」によると、専門実践教育訓練の指定講座は、同日時点で3485講座となりました。特定一般教育訓練は、同日時点で1532講座が指定されています。

専門実践教育訓練には、デジタル技術に対応した第四次産業革命スキル習得講座も含まれる点が特徴です。指定講座は、厚生労働省の教育訓練給付金指定講座検索システムで確認できます。

民間のAI講座やSNS運用講座が、すべて給付の対象になるわけではありません。受講を考えている講座が指定されているかは、契約前に講座ごとに検索して確かめましょう。

雇用保険の被保険者でない求職者向けに、「リ・スキリング等教育訓練支援融資」があります。ハローワークを通じて、教育訓練費用や生活費を借りられる制度です。年齢や就業歴などの要件があるため、利率を含めてハローワークで確認してください。

求職者支援制度では、収入などの要件を満たすと職業訓練受講給付金を受けられる場合もあります。制度の内容や要件は変わることがあるため、受講を決める前に最新の情報を確かめましょう。

6. まとめにかえて|契約前に立ち止まって確認する3つの行動

学びたい気持ちを大切にしながら、安全に一歩を踏み出すための手順を整理します。

  1. その場で決めず、総額と解約条件を確認する:月々の支払額だけでなく、総額や解約料、返金の条件を書面で確かめ、持ち帰って検討しましょう。
  2. 不安を感じたら、消費者ホットライン188へ相談する:Web会議や電話での勧誘による契約は、クーリング・オフの対象となる場合があります。早めの相談が安心です。
  3. 公的な支援の有無を調べる:国の教育訓練給付制度は、指定講座かどうかを検索システムで確認できます。

気になる講座があれば、契約書面を受け取ったうえで、落ち着いて内容を比べてみてください。

参考資料

池上 翠