厚生労働省が2026年8月に公表した令和8年10月1日付けの「専門実践教育訓練の指定講座」「特定一般教育訓練の指定講座」によると、10月1日時点で給付の対象となる講座は専門実践が3485講座、特定一般が1532講座です。

学び直しへの公的な支えが広がる一方、国民生活センターによると、ビジネス講座の相談は2025年度に3551件と、2020年度の1169件から5年で約3倍に増えました。

2026年度も7月31日時点で前年同期を上回り、Web会議での勧誘から契約に至る例も見られます。

契約前に確認したい注意点と、公的支援の使い方を整理していきましょう。

1. そもそもビジネス講座とは?相談は5年で約3倍に

国民生活センターが2026年9月16日に公表した「ビジネス講座のトラブルにご注意」によると、ビジネス講座とは、知識や技術の習得を主な目的とした講座を指します。

趣味の要素がほとんどなく、資格取得ではなく仕事のスキル向上を目的とした講座も含まれるのが特徴です。

同資料では、全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)のデータが使われています。ビジネス講座の相談件数は、2020年度が1169件でした。年度ごとの件数は次のとおりです。

  • 2020年度:1169件
  • 2021年度:1831件
  • 2022年度:2106件
  • 2023年度:2510件
  • 2024年度:2682件
  • 2025年度:3551件
  • 2026年度(7月31日まで):1121件

2025年度の3551件は、2020年度の約3倍にあたります。2026年度は7月31日までの4か月間で1121件となり、前年同期の821件を上回りました。

なお、この件数には消費生活センター等からの経由相談は含まれていません。

ビジネス講座の年度別相談件数1/4

PIO-NETにおけるビジネス講座の年度別相談件数のグラフ

出所:国民生活センター「ビジネス講座のトラブルにご注意」をもとにLIMO編集部作成

2. 電話勧誘販売の平均契約金額はいくら?通信販売との差を比べる

同資料は、ビジネス講座の契約を販売形態で分け、平均契約購入金額を示しています。対象は「通信販売」と「電話勧誘販売(Web会議での勧誘を含む)」です。

電話勧誘販売に関する相談は増加傾向にあり、通信販売より契約金額が高くなる傾向も見られます。

  • 通信販売:2020年度44万円、2021年度47万円、2022年度59万円、2023年度57万円、2024年度64万円、2025年度64万円、2026年度48万円(7月31日まで)
  • 電話勧誘販売(Web会議での勧誘を含む):2020年度60万円、2021年度69万円、2022年度84万円、2023年度88万円、2024年度99万円、2025年度87万円、2026年度79万円(7月31日まで)

たとえば2025年度は、電話勧誘販売の平均87万円が、通信販売の平均64万円より23万円高い計算です。電話勧誘販売は、通信販売と比べて契約金額が高い傾向にあります。

2024年度の99万円は、2020年度の60万円から39万円増えた金額でした。

なお、平均額は金額が不明な相談を除き、0円の相談を含めて算出された数値です。2026年度は7月31日までの途中経過のため、年度全体の金額とは単純に比べられません。

通信販売と電話勧誘販売の平均契約購入金額2/4

販売形態別の平均契約購入金額の推移グラフ

出所:国民生活センター「ビジネス講座のトラブルにご注意」をもとにLIMO編集部作成

3. 相談事例にみる4つの落とし穴

国民生活センターが紹介した相談事例から、主なパターンを4つ整理しました。

  1. 広告の印象と実際の講座内容が違う:SNS広告をきっかけに3時間の説明会へ参加し、AI講座を契約した事例があります。受講後に期待した水準ではないと感じて解約を申し出たところ、残りの月数分の受講料の40%が必要と告げられました。
  2. 勧誘と知らされないままWeb会議に参加する:副業の採用面接のつもりでWeb会議に参加したところ、有料研修の契約を勧められたという内容です。電子契約書には、総額65万円と記されていました。
  3. クレジットで高額な契約を結ぶ:Web会議で説明を受け、約80万円のAI動画講座を契約した例です。支払いは36回払いの個別クレジットで、のちに支払いが困難になったと報告されています。
  4. 解約条件を後から知る:約20万円をカードで決済した後に、厳しい解約条件を知った事例です。動画をおおむね最後まで視聴していることなどが条件で、契約から3日後の解約は断られました。

契約の前に総額と解約条件を確かめることが、トラブルを避ける第一歩になります。