4. 年収別の教育費を読むときの注意点が4つあります

年収別の教育費データを読むうえで、押さえておきたい注意点が4つあります。

第1に、このデータは令和5年度の支出と、2023年の年間収入をもとにしている点です。その後の物価上昇や、2026年度の制度変更は反映されていません。最新の数字は、令和7年度調査の公表(12月ごろの予定)で確認できます。

第2に、年収区分が指すのは、世帯全体の税込み年間収入という点にも注意しましょう。給与所得者1人の年収や、手取りとは異なります。

第3に、学習費は家計が実際に支出した額をもとにした調査です。授業料などは、就学支援金による減免後の金額で計上されているとみられます。このため、2026年度の支給上限額を令和5年度の学習費から差し引くと、二重に引くことになりかねません。当時の所得制限や支援額も、現在とは異なる点に注意が必要です。

第4に、平均値には誤差がつきものという点も見逃せません。小・中・高の学習費総額は、全区分で標準誤差率が10%未満でした。一方で、私立小学校の400万円未満は標準誤差が13.2万円と大きく、過度な一般化は避けたいところです。

なお、公立と私立の差は学校種で異なります。全体平均では、私立は公立の小学校で4.8倍、中学校で2.9倍、高校全日制で2.0倍でした。

5. 2026年度に何が変わった?年収の壁が消えた高校の授業料支援と、給食・奨学給付金

2026年度は、高校の授業料支援を中心に制度が大きく動いた年です。

高等学校等就学支援金では、2026年4月から所得制限が撤廃されました。支給上限額は年額で、公立全日制が11万8800円、私立全日制が45万7200円、国立全日制が11万5200円です。月額にならすと、公立が9900円、私立が3万8100円になります。

旧制度で年収約590万円未満の世帯の私立上限額は、39万6000円でした。この層では、上限が年6万1200円引き上げられた計算です。ただし上限額は授業料の範囲内でのみ使えるため、実際の支給額は授業料の実額までとなります。授業料に充てる制度のため、入学金や施設整備費などは基本的に対象外です。日本国籍以外の方には、国籍・在留資格等の要件もあります。

授業料以外の教育費を支える高校生等奨学給付金も、2026年度から対象が年収約490万円未満の世帯まで広がりました。住民税非課税世帯(年収目安約270万円未満)の全日制等では、国公立が年約14万円、私立が年約15万円です。新たに対象となった約270万〜380万円未満の世帯には、非課税世帯の3分の1が給付されます。約380万〜490万円未満の世帯は、4分の1が目安です。判定は、年収そのものではなく保護者の住民税所得割額で行われます。

公立小学校では、2026年4月から学校給食費の負担軽減が始まりました。保護者の所得にかかわらず、国が一定額まで支援する仕組みです。基準額を超える部分は、保護者の負担となる場合があります。

6. まとめにかえて|自分の世帯の区分を確認して備える

世帯の年間収入区分と2026年度の支援制度を踏まえて、次の順に確認していきましょう。

1. 世帯全体の年間収入区分を正しく把握する:給与所得だけでなく、世帯全員の税込み収入を合算して該当区分を確かめます。
2. 授業料以外の必要な費用を学校へ確認する:入学金や施設整備費など、就学支援金でカバーされない費目を算出しましょう。
3. お住まいの自治体による独自支援を調べる:給食費補助や都道府県ごとの上乗せ給付金の有無を、自治体窓口で確認します。
4. 令和7年度調査の結果を確認する:12月ごろに公表予定の最新結果で、資金計画を見直しましょう。

参考資料

池上 翠