私立の小中学校のデータをみると、学校外活動費の多さも目立ちます。平均すると、1年あたり10万円以上の学校外活動費が発生しているようです。

同資料によると、3歳で幼稚園に入れて高校を卒業するまでの15年間にかかる学習費総額は、すべて公立に進学した場合で約540万円、すべて私立に進んだ場合で約1770万円となっています。

「私立に憧れて入学させてみたが、お金が払えなくなった」「老後資金が貯められそうもない」という事態になるのを避けるためにも、あらかじめ子どもにかかる学習費の全体像を把握しておくことをおすすめします。

公立中高一貫校で加熱するお受験事情

中学受験と聞くと、大都会やお金持ち限定の話だと思っている人もいるかもしれませんね。かつての地方では、成績に関わらず「中学校までは公立に通う」というのがごく普通のことでした。ところが、地方にも公立中高一貫校が増えてきたことで、地域を問わずに「お受験」競争が加熱しています。

公立中高一貫校とは、「学校教育法等の一部を改正する法律」の成立によって1999年から導入可能になった新しいスタイルの学校です。中学校と高校の6年間で一貫した教育が受けられるというもので、ゆとりある豊かな学習によって個性や創造性を伸ばせると期待されています。高校受験にわずらわされることがない点もメリットです。

授業内容を前倒しして、早い時期から大学受験に備えられるのも人気の理由になっています。費用を安く抑えられる公立で高度な教育が受けられるとして、子どもを持つ親の高い関心を集めています。

中高一貫校には3つのタイプがありますが、基本的に入学にあたって学力試験ができません。代わりに、適性検査や面接、作文などが実施されます。そのため、ペーパーテストは「受験」ではなく「受検」と呼ばれています。

塾にかかるお金は授業料だけじゃない

公立中高一貫校の適性検査では、国算理社をバランスよく混ぜた問題が出されます。学んだ教科知識をそのまま書くのではなく、うまく活用する力が必要になる点が特徴といえるでしょう。与えられた資料を適切に読み取る力や自分で考える力、表現する力などが問われます。

付け焼刃的な勉強では合格するのが難しいため、小学校低学年から専門塾に通うケースも珍しくありません。塾選びでは授業料ばかりに目がいきがちですが、夏期・冬期講習や模擬試験、志望校の見学会や説明会などにも費用がかかります。また、当然ながら受験費用も必要です。

地方では公立中高一貫校の数が少ないために競争が激化しやすく、狭き門になることもしばしばです。「低学年から勉強を強いられた結果、勉強嫌いになった」「受検に失敗したことで精神的に追い詰められてしまった」というリスクがあることにも配慮しなくてはなりません。

誰のための「お受験」なのか

親としては子どもにできる限りの教育機会を与えたいと思うのは当然です。しかし、「我が子のため」といいながら、いつの間にか「親のため」になってしまうケースも少なくありません。

親のほうが中学受験に夢中になると周囲が見えなくなりがちで、「教育虐待」につながるおそれも出てきます。あくまでも本人の考えや性格を踏まえたうえで、子どもの将来を考えたいものですね。

【参考】
「平成28年度子供の学習調査」文部科学省
中高一貫教育に関する通知等」文部科学省
中高一貫教育の概要」文部科学省

LIMO編集部