年々右肩上がりで増え続ける、若年無職者やフリーター。中でも、自宅に引きこもって生活する「ひきこもり」は大きな問題となっています。2019年3月、内閣府の「生活状況に関する調査」により40歳から64歳までのひきこもり推定人数が発表されました。
1. 趣味の用事のときだけ外出する人は推定24万8000人
2. 近所のコンビニなどに出かける人は推定27万4000人
3. 自室からは出るが家からは出ない人、自室からもほとんど出ない人の推計は9万1000人
この合計61万3000人という人数に、15歳から39歳のひきこもり推計値(2015年度調査)54万1000人を合わせると、全国に計100万人超ものひきこもり当事者がいることになります。日本の総人口 1億2614万人(2019年10月1日現在(概算値)※1)と比較すると少数派ではと感じるかもしれませんが、ひきこもりは長期化しやすく、解決の難しい問題をはらんでいるのです。貴重な労働力人口にも影響を与えます。
残念なことに、調査結果によればひきこもりを始めてから7年以上になるという人が約半数も。その間の生活は父母が支えている割合が34.1%というデータもあります。指摘されている「8050問題」も10年後には「9060問題」となり、若い人も必ず年を取ります。身内の収入や年金に頼る生活では、身内が離職した場合や病気や要介護状態・死亡したとき、生活が行き詰まる事は明らかです。ひきこもりの解決は家庭内の努力だけでは困難であり、社会全体が抱える問題として取り組むべき重要な課題となっています。
ひきこもりの「きっかけ」…人生の転機が大きな要因に
ひきこもりのきっかけは、疾患や障害が原因となるものや、「不登校(小学校・中学校・高校)」「職場の人間関係」「就職活動の不調」「受験の失敗」などの社会的構造が原因になるものなどさまざまです。中高年のひきこもり当事者の約分4の1を占めるのが、40~44歳の層であり、いわゆる「就職氷河期」世代です。大学卒業後も就職は非常に狭き門。就職・転職しても非正規雇用から抜け出せない多くの人が存在しています。
また、大人のひきこもりの23.4%が女性だということも判明しています。ひきこもりは一部の層のものではなく、想像よりも幅広い年代に根深く食い込んでいる問題だということが分かってきているのです。